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仲間(士郎side)
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「お供するっす」
ジェイが忠犬よろしく、ないシッポを振りながら立っていた。
そんなに足元が危なっかしく見えただろうかと複雑な思いにかられたが、実際、二人分の雑炊が入った土鍋と食器は、それなりに重い。
まともに立つのもやっとな今、よろけて落としたりでもしたら、それこそ大惨事だろう。
一人で行動させるのが不安な翡翠も、役員棟内にいる限りは安全は保たれている。
「なら、頼むか」
「そうこなくっちゃ!」
ニカッとジェイが笑う。
「何なら士郎さんも、背負えるっすよ!」
いちいち調子に乗るのが玉にキズだが、世話になる手前、そこはあえて見て見ぬフリをした。
「……どんな重病人だ。自分で歩ける」
共に廊下に出ると、ジェイが廊下の先に視線を逃しながら、聞いてきた。
「……そういや、あいつ、どーしてます?」
……煌牙か。
何気に気にかけてくれているのだと思うと、胸の奥が温かくなる。
だが、煌牙がどうしているかと問われれば、何とも言い難いものがあった。
「変化がなくもない……か」
「ずいぶん曖昧っすね」
苦笑された。
土鍋を腕に抱えながら、ジェイがクルリと振り返る。
「……最初はね、正直すげー腹立ったっすよ。けど、自分があいつだったらって考えたら、そりゃヒネくれたくもなるな、って」
「……そうだな」
孤独は心を荒ませる。
心配してくれる人間の一人もいなければ、無価値な自分を認めたくなくて、周りの世界をただひたすらに壊したくもなるだろう。
「ほらっ、オレってあんま動じない性格っしょ? みどりのことがなきゃ、ほっとけなくて、何気にガンガン近づいてたと思うんすよね。……で、今さらっすけど、ダチになれたらとか思ったりして」
「それは助かる」
「はぁーっ、士郎さんの笑顔、ヤバイっすっ。なんかこう、キューってくるっつーか!」
「……は?」
「ぜってぇ龍之介さんの色気、乗り移ってるっしょ? やっぱヤりまくるとフェロモン出んだなぁ」
「や……っ、断じて、出てないからなっ」
ギロリと睨みつけたものの、お調子者のコリーは人の話など聞いてやしない。
「……みどりもそうなんだよなぁ。抱いた翌朝は、めっちゃかわいくて、ホントもう、止まんねーっつーか!」
顔を紅くしながら、土鍋を翡翠よろしく抱きしめて、身悶えている。
もはや勝手にしてくれとため息に暮れると、身悶えるジェイを置いて、先を急いだ。
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