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反撃(士郎side)
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『そーやってタラしまくンの、ヤメろっつったろ』
「は……?」
それはおまえだろう、と呆れた。
『……会長職に就いてから、あちこちに隠れファンが増殖中、って、ネタは上がってンだぜ? まぁ、そンだけ艶が増しゃァ、いらねェハエが寄ってくンのも、ムリねェが』
暗に、自分がベッドでさんざんかわいがってやったからだと匂わされ、額に青筋が浮いた。
「……情けなく甘えてきたのは誰だ?」
『……あァ、指でさんざん、イカせまくってくれたよなァ。ありゃ、悪くなかった』
龍之介が喉の奥で笑う。
「……っ」
キュッと下腹部が熱を持つ。
首筋が火照って仕方がなかった。
このままでは反応してしまうと、慌てて呼吸を整えようとした時だった。
瞳に冷たい怒りを滲ませた翡翠が、ガンッと足で己の椅子を蹴りつけた。
「……っ、すまない。ほら、おまえも謝れ!」
『……ンだよ、イイトコでジャマすンじゃねェぞ、チビッコが』
翡翠が冷たく、それは綺麗に笑ったかと思うと、そのままツカツカとこちらに近づいてきた。
本能的に、殴られるのを覚悟した時だった。
綺麗な顔が近づいてきたかと思うと、チュッと唇に、小振りな紅い唇が触れた。
「……っ!?」
「黙らないならもっと触るけど?」
言いながら、胸に手の平をはわせてくる。
「……っ」
『……テメェ』
龍之介が血をはうような声で、低くうなる。
「恋愛感情じゃなくても、僕はシロさんが大好きだ。正直あんたにはもったいないと思ってる』
触りたくても触れない距離にいるのだと自覚しろとでも言いたげに、翡翠の指先が降りていく。
危ういところをかすめる一歩手前で、慌てて細い手首を奪い取った。
「やり過ぎだ」
「……どっちが?」
睨みつけられれば、ぐうの音も出ず、黙り込むしかない。
「今後はおとなしくすると約束する。……龍之介、おまえもいいな?」
『……ったく、後でしっかり、消毒しとけよ?』
「いや、今のは……」
ギリギリ唇の横だったと言い訳する声を、
「シロさんは、黙ってて」
容赦なく、遮られた。
「……わかった」
龍之介もこれ以上、二人の集中を乱すべきではないと踏んだのだろう。
憮然と近くの椅子に座り込んだ。
『1100、ミッションスタート。カウント開始』
なめらかに話すハルトの声を、初めて聞いた気がした。
見た目や引っ込み思案な性格で忘れられがちだが、ハルトもまた龍之介と同じく、命を削りながらいくつもの修羅場を生き抜いてきた、歴戦の戦士なのだ。
急場の集中力に目を瞠った。
翡翠同様、眼差しが鋭く密度を増し、一本のまばゆい光線のように輝いていく。
時計の針の音が聞こえるほどの沈黙の中、
『3、2、1、GO!』
ハルトがミッションの開始を告げた。
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