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張り型(士郎side)
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「ん…ぁ…っ」
身体の自由を得るために指を引き抜くと、その刺激で軽く達しかけた。
新たな刺激を求めて、奥がキュ……っと切なく疼く。
サイドボードに手を伸ばそうと、ベッドで身を乗り出すだけでも、脚がもつれた。
崩れ落ちた際、シーツに擦りつけられた雄から、トロリと蜜が溢れた。
「はぁ……っ」
このまま淫らに腰を動かし続けたい衝動と、必死に戦った。
あのエキゾチックな香りのするピンクの液体が単なる潤滑剤ではないのは、もはや明らかで。
まるで龍之介に抱かれ、理性を手放した時のように、襲い来る快感に抗えない。
欲しい……、イキたい……、もはや、それしか考えられず、必死に震える指先をサイドボードの奥に伸ばした。
指先が壁に突き当たる。
「……?」
訝しげに、スクリーンの向こうの龍之介を見ると、アゴでもっと奥だと、しゃくられた。
試しに指先に力を込めてみると、カタッと音がして、仕切りが動く。
二重扉か……。
不意に、グニャリと芯のあるやわらかなものに触れた。
驚き、思わず指を引いた。
『別に噛みつきゃしねェ。……ちょい、驚くかもしンねェけどな』
面白がるような龍之介の言葉に興味をそそられ、もう一度手を伸ばした。
恐る恐る指先で触れてから、つかんでみる。
すべらかな肌触り。
先端が膨らみ、ところどころ筋状に隆起した、円柱の形状。
これではまるで……。
まさかな、という思いと、コイツならやりかねないという怖いもの見たさが交錯し、取り出した物を見て、絶句した。
手の中には、男性の象徴を象った張り型があった。
それも、勃った時の龍之介と、寸分変わらぬ色と形と大きさの……。
「ひ……っ」
思わず放り出すと、ひでェな、と苦笑された。
「なっ、何なんだ、これは……!?」
『すげェだろ』
惚れた相手ができるたびに相手をしなくなる自分に業を煮やしたマコト達に頼みこまれ、これで面倒がなくなるなら大歓迎だと石膏で型取りさせ、業者に発注をかけた特注品である。
『成長過程で何回か造りかえた内の最新版だな。ちなみにそれは、オレ用だそーだ。試しに使ってみたンだけどよ、テメェで言うのもナンだが、イイとこに当たりやがる』
もはやどんな顔をしていいのか、わからなかった。
『それよか、疼いてたまンねェだろ。ソイツをオレだと思って慰めりゃ、少しはマシになンじゃねーの?』
「……っ」
こんな時ばかり声を濡らすのはやめろと、わめき散らしたい思いにかられながら、睨みつけた。
だが、欲しくて欲しくてたまらない相手は、どうしたって手の届かない所にいる。
片や身体の疼きは、刻一刻ひどくなるばかりで。
『前をどンだけ擦ったところで、その熱は収まンねェぞ。指じゃ届かねェ場所も、ソイツなら満たしてくれる。……それとも、薬が切れるまで延々、悶えてるか?』
……まァ、夜は長い。
好きにしろと嬲るように、龍之介が笑う。
「…ぅ…く…っ」
ひどくなるばかりの疼きに、陸に打ち上げられた魚のようにビクビクと身体が跳ねた。
スクリーンの向こうから届くわずかな息遣いと水音に顔を上げれば、龍之介がこれ見よがしに己の雄をゆっくりと丁寧に扱いていた。
相変わらずすごい濡れ方だ。
本当はアレが欲しいのに……。
『……ンな、物欲しそうな目で見ンな。オマエには代わりになるモンをやったろ?』
毒のように甘い声。
自分の息遣いがひどく耳にうるさかった。
……もうダメだ。
震える手を伸ばして、張り型に触れた。
『指とはデカさが違う。……たっぷりローションで濡らしてから、ヤれよ?』
「……っ」
そんなことをしたら、本当に狂ってしまう。
『……めちゃくちゃになりてェンだろ?』
何もかも見透かすような目に、負けた。
『……けど、あンま夢中になるンじゃねェぞ。テメェの模型でも、妬けるモンは妬ける』
不意に匂わされた独占欲に、ゾクリと震えた。
まったくこの男は、いったいどれだけ自分を夢中にさせたら気が済むんだか。
ピンクの液体を震える指先で張り型に塗り込めていく。
まるで龍之介のそれに指を這わせているようで、たまらなかった。
もどかしくも淫らな感触に、絶え入るようにキツく目を閉じながら、龍之介と過ごした灼熱の夜を想う。
長い夜になりそうだと、龍之介が喉の奥で笑った。
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