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動く(龍之介side)
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己の形を象った張り型を、狂ったように秘部に出し入れする士郎に、目を細めた。
誇らしさと苛立ち、感慨と憂いがぶつかり合い、競うように波の高さを増していく。
なぜ、直接触れられない?
あの張り型は、自分であって自分ではない。
壮絶に妬けた。
やはり、使わせるべきではなかったか……。
今さらながらに後悔に苛まれる自分を、嘲笑った。
せめて、自分に抱かれている錯覚の中でイけと、耳を犯した。
『……オレのは、そんなにイイか?』
ビクッと震え、妖艶としか言いようのない視線が流れてくる。
ゾクゾクと込み上げてくるのは、単なる欲望を遥かに凌駕する、支配欲だ。
明日になれば、今夜さらした弱さなど嘘だったかのように、毅然と前を向くのだろう。
凛と立て。
どこまでも遠く、駆けて行け。
そう願う傍らで、この腕の中に堕ちたまま、もう二度と目覚めなければいいと願う自分がいる。
……どうしようもない。
だが、それでいいのだ。
息の根を止めたくなるほどの愛しさも、胸を掻きむしりたくなるほどの切なさも。
すべて呑み込んで駆けていく。
疲れ果て、意識を失った士郎は白濁にまみれ、あれほど乱れた姿をさらしたのにも関わらず、ひどく気高く美しく、戦い疲れた男の顔をしていた。
ひっそりと微笑み、手の動きを早めた。
ゆるやかに登り詰めていく。
「……っ、…く…っ、はァ……」
再び落ちた沈黙の中、絶望の闇に灯るロウソクの炎にも似た、悲しいほどの幸せが胸に迫った。
互いに戦場を駆ける誇りある雄である以上、戦士のつかの間の休息を護る聖母には、どちらもなれない。
投げ出したスマートフォンを手に取った。
「……士郎の部屋のエアコンの温度を、2、3度上げてやってくれ」
翡翠が訝しげに理由を聞いてくる。
「……ちょい、ムリさせた。間違っても監視カメラの映像を見たり、部屋に乗り込むンじゃねェぞ?」
文句を言われる前に、通話を打ち切った。
さてと。
こちらはこちらで、やることがある。
久々に大きなミッションになりそうだ。
走り出してしまえば憂いも甘い記憶も、あたかも煙のように脳裏から綺麗に消え去るだろう。
狩猟本能と、ただひたすらにスリルを追い求める欲ばかりが膨れ上がり、感覚神経が鋭く尖っていく。
胸が躍った。
根っから戦闘好きな自分を、笑った。
「全員を食堂に集合させろ。緊急ミーティングを開く!」
慌てるユーリの言葉を最後まで聞いてやらずに、通信を打ち切ると、自らもまた食堂に急いだ。
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