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緊急ミーティング(龍之介side)
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「出払ってるヤツ以外、全員集まってんぞっ。つーか、いきなり緊急ミーティングとか、サブのオレに何の相談もナシかよ!? マジ泣くぞ、コラ!」
ブツブツと文句を垂れるユーリは無視して、居並ぶ組織のメンバーを見渡した。
普段は広々した食堂が、屈強な男たちのせいでやけに手狭に感じられた。
「あー、ンな深夜に悪ィな。実は緊急で立ち上げてェミッションがあってよ」
「内容は?」
一番近くのテーブルに陣取ったジンが、楽しげに身を乗り出してきた。
ったく、コイツは楽しけりゃ何でもアリだなと呆れながら、思いつくままにミッションの内容を語った。
シン……と深夜の食堂が静まり返る。
ザワザワ……。
好意的な表情の面々からも、すぐには賛同の声が上がらない。
それはそうだ。
リスクとリターンのバランスが悪過ぎる。
「おまえなぁ……、何だってわざわざ、火薬庫に火ぃつけて回んだよ?」
ユーリが反対派を代表するように、ボヤいた。
「それで、数百人単位のガキが救えるならまだしも、何だ、その煌牙と雪夜? それにファーストとセカンド? 拉致られてる家族含めても、大した人数にはなんねーだろーが」
「死にかけてるガキもいる。数の問題じゃねーだろ」
ジンの援護射撃にも、ユーリは頑なに首を振った。
「財源だってマンパワーだって、無限じゃねぇーんだ。ただでさえ、キリの抜けた穴埋めるのに必死だってのに、勘弁してくれよ」
どーする、とジンが楽しげに見つめてくる。
面白がってるとしか思えない視線に、援護射撃はもう終わりかよと、肩をすくめた。
昔からそうだ。
信頼されているんだか、単に面倒なだけか。
放任主義の極みのような育て方は、だが己の負けず嫌いな性格に上手く合致した。
守られてばかりいたら、自分で考えて動く持ち前の行動力は育たなかったろう。
せいぜい、ガキの成長の早さに目を瞠れと笑いながら、言った。
「リーダー引き受けてくれ、っつった時に、おまえ、好きにやだてイイっつったよな? ……ありゃ、ウソか?」
「そりゃ……」
ユーリが言葉に詰まる。
相手がひるんだと見るや、追い打ちをかけた。
先手必勝。
攻撃の鉄則だ。
「だいたい、金だの数だのケチくせェこと言ってンじゃねェよ。燃えるか、燃えねェか。意味があると思うか、思わねェか。しょせん男の戦う理由なんてのは、そンなモンだろ?」
ユーリの前に右手をついて、ぐっと身を乗り出した。
「……死にかけたガキの、最期の願いだ。叶えてやる気概も度量もねェなら、今すぐサブなんざ辞めちまえ」
ドスを効かせて耳元で低くつぶやけば、ユーリの身体がブルリと震えた。
「サブはこの通り、反対してる。けどまァ、オレァあくまでヤるつもりだ」
つーわけで、リーダーの強行権を発動する! と食堂全体を広く見渡した。
「危険でもスリルだけは保証する。面白おかしく踊ろうぜ? ……テメェらも、どの道ついてくリーダーの力量は知っといた方がいい。わりと使えるってトコ、示してやるよ」
煽れば何人かがニヤリと好戦的に笑い返してきた。
中でも、マコトやユージンたちの行動は早かった。
「こーゆー燃えんの、待ってたんだよ! ほら、みなさーん、今回は時間的余裕ないんで、できるだけチームで参加してくれると助かりまーす! 早いもん勝ちだよーっ」
マコトの掛け声に、瞬く間に周囲に人垣ができた。
さすがは戦好きな男たちの集団だ、ざっと30人はいるだろうか。
小隊が6チームは編成できそうだ。
悪くはない。
これだけいれば、各部署を一斉攻撃して、敵が異変に気づく前に殲滅できる。
「場所を移すぞ」
ミーティングルームに向かおうとした、その時だった。
ドアの前に、ユーリが勢いよく立ち塞がった。
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