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妨害と加勢(龍之介side)
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「オレは納得してねーぞ!」
オッサンがわりとネバりやがる、と苦笑した。
「あのなァ、考えてもみろよ。こいつはデカイ貸しになる」
いずれトラが頭に立った暁には、もとより数倍にして返してもらう算段だ。
「ガキさばく他の組織の極秘情報だって、イモヅル式に入手できるかもしんねェ」
「はっ、親から見放された瀕死のガキがトップにつく可能性が、どんだけあんだよ? 仮にトップに立ったところで、そいつの性格じゃ、恩になんざ着ねーだろーが」
「……そン時ゃ、士郎のヤツが上手くやる。猛獣遣いの異名はダテじゃねェ」
ブハッ、とマコトが吹き出した。
「誰だよ、それ言い出したの?」
「……ジェイとかいう、お祭り男だ」
「ああ、王子ね。さっすが、よく見てんなぁ。シロちゃん最強説が、ますます有力になってきましたなぁ、ダンナ?」
肘でつついて、からかわれた。
「ありゃモテるよ。人嫌いのルイが懐くんだから、大抵のヤツはコロッと転ぶ。そばに置いといた方がいーんじゃねーの?」
「……るせェ」
できるモンならとっくにやってると、睨みつけた。
「おお、怖っ」
マコトがユージンの背後に逃げ込んだ。
「とにかく、この話はいったん白紙に戻す! ジン、このまま幹部会議を開くぞ……って、痛っ……!」
一方的に話を打ち切ろうとしたユーリの頭に、ジンが思いきり手刀を入れた。
「勝手にオレを、おまえ側につけんな」
「はぁ!? おまえはどっちの味方だよっ?」
「リュー?」
間髪入れぬ答えに、ユーリの口が開いたまま塞がらなくなる。
「……っ、泣くぞ、マジで!?」
「言い出したらきかねーから、こいつ。ゴネるだけ損だって、いい加減わかれ」
あっけらかんと、ジンが笑った。
「無茶を無謀だって諭すのが、年上の役割だろ!?」
「オレの息子をあんまナメんなよ。ぜってぇ無理なら、端からやんねぇ。イケるって踏んだから、作戦ブチ上げてんだ。つーか、こいつらがドジ踏みやがったところで、最悪オレらが残るんだから、問題なくね?」
「おめーは、綿毛みたくフワフワ、漂ってばっかだろーが!」
「そんでも、窮地にはいつも駆けつけてやってんだろ?」
ユーリがクシャ……と表情を歪ませた。
「……くそっ、その顔、反則だろ……っ」
「大人しく引くなら、おまえの大好きなアレしてやってもいいんだぜ?」
「アレってどれ!? ……てか、ダイゴの目が怖いんですけど」
「あいつはオレのやることに文句はつけねぇよ。何ならあいつも含めてヤるか?」
「えっ、それはちょっと興味ある……って、なに絆されてんだ、オレ! 違ぇだろっ」
下手をすると、この場でおっ始めそうな勢いのオヤジ連中を押しのけ、やれやれとばかりに食堂を後にした。
「ユーリさんって完璧、ジンさんの尻に敷かれてるよなぁ」
「ありゃ尻に敷かれてるってより、ジンの尻の下にグイグイ身体割り込ませて、自ら好んでクッション役に徹してンだろ」
「そうかも」
「てか、テメェらもジンだけは敵に回すなよ」
あのあっけらかんとした態度にだまされてはいけない。
「あのオヤジは、面白きゃ何だっていいンだ」
けして、やさしいわけじゃない。
そこを見誤ると、ドえらい目に合う。
清濁飲みくだして大人になれと、笑顔で崖から突き落とされ続けた幼い日々が蘇る。
さて。
こちらも充分大人になったことを育ての親に示してやらなくてはならない。
いつまでも手の平の上で踊る幼い子供だと思うなよ、と内心でつぶやきながら、寄せ集めの軍勢を率いて、ミーティングルームに陣取ったのだった。
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