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誤算(龍之介side)
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「……てめーら、煌牙が寄越した鉄砲玉か」
周囲の空気を底冷えさせる、えらく静かだがドスの効いた声だった。
煌牙のハスキーな声はこの男譲りのようだ。
顔もよく似ていた。
見た目は30そこそこの刃のように鋭い美形だが、目の奥の闇は深く、一度目を合わせれば、ひどく老成しても見えた。
単にドンとして、その地位にあぐらをかいてきたのではないらしい。
命を狙われた際の落ち着き一つを取っても、数多の戦いを制してきたのだろう、確かな自信が感じられた。
好んで戦いの最中に身を投じる、底知れない危うさがあった。
ジンが好きそうな男だと苦笑する。
「……や、あのワガママポーズには伝えてもいねェ。オレらはソイツを手懐けた、猛獣使いの頼みで動いてる」
ドンの瞳に初めて、面白がるような光が浮かんだ。
この男、なかなかに曲者だ。
「……その顔じゃ、単にテメェのガキを切り捨てた訳じゃねェな?」
頭の中で、様々なピースが音を立てて組み合わさっていく。
「……さぁ、何の事だか」
食えない男だ。
「引くぞ」
突然の撤退命令に、小隊のメンバーと敵方がそろって驚きの声を上げた。
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