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勝利と敗北(龍之介side)
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「この貸しは高くつくぜ?」
「……今回はそっちの勝ちでいい。雪夜は戦利品としてやろう。周りはどうせとっくに解放してんだろ?」
こちらの動きも筒抜けに等しい。
敵の思い通りに踊らされ、まんまとフル装備でやってきた己の間抜けさに加減に腹が立つ。
せめてもの駄賃だと、ドンの頬に蹴りを入れれば、抜かりなく首をそらして威力を半減された。
ドンは唇の端から滴った血を舐め取ると、畳の床に吐き捨てて笑った。
「……おまえ、オレの下につかねぇか?」
「死んでもゴメンだな」
「気が変わったら、いつでも来い」
「……抜かせ」
鼻を鳴らして、背を向けた。
清濁併せ呑む、闇色の瞳。
今回の件に関する限り、完全に上を行かれたと思って間違いない。
悔しさと、これだから面白いと踊る心とが、複雑に絡み合う。
庭を風のように駆け抜けた。
当然ながら追手は来ない。
闇に紛れ、回収部隊が運転するトラックに飛び乗った。
次々と各小隊から連絡が入る。
作戦成功。
だが、素直には喜べなかった。
踊らされたこともそうだが、単純に、この程度では到底満たされない、命スレスレのスリルを追い求めてしまう自分がいた。
同時に、戦闘後の熱が襲いかかってくる。
人を殺めた時ほどの反動はなかったが、車内という限られた空間の中で、メンバー肌や汗の匂いに包まれると、ブワッと全身の毛穴が開くような、強烈な衝動が込み上げてきた。
乱れる吐息を嚙み殺すのに、必死になる。
他の小隊を率いるマコトがしきりに事の推移を聞きたがったが、戻るまで待てと低く言い置いて、あらゆる誘惑を断ち切るかのように、静かにキツく目を閉じた。
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