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真相(龍之介side)
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今回のミッションに参加した者、および幹部が食堂に集まるのを待って、経緯を語った。
「要は、あのオヤジが稀に見るドエスだってこった」
「って、意味不明だから!」
もうちょい噛み砕いて頼むと、額に軽く青筋を立てながら、ユーリが先を促した。
「だからよ、オヤジはオヤジで、そこそこトラをかわいがってるってことだろ。今回の襲撃も、明らか予測されてたしな。こっちのツラでも拝みたかったンじゃねェの?」
桜華にトラを沈めたのにも訳がある。
大方、表で見つからなかった高度な医療技術を持つ闇医者が、桜華とつながっているとの噂でも聞きつけたのだろう。
煌牙の父が締める千秋会には、凄腕のハッカーがいる。
雪夜の情報を探った際、ハルトが難しい顔でそう言っていた。
細かい情報は漏らさぬまま、闇の世界に顔がきくリンに渡りをつけさせた。とはいえ、絶対に助けろと強要してこない辺りが、あのオヤジらしい。
もとより崖っぷち。
生き残れるかどうかは、煌牙自身の生命力と運次第。
どう転ぶかを高みから面白がって見ている節がある一方で、散々に虐めはしても、けしてどうでもいい訳ではないことは、最期を過ごすかもしれない桜華の地で、長年引き離していた雪夜をつけて寄越したことで知れた。
煌牙には腹違いを含めて兄弟がいない。
あの規模の組織を率いるドンにしては珍しい落ち度だが。
あの男なら。
重い心臓病を患って生まれてきた長男に、あえてすべてを託す。
そんな無謀とも取れる冒険を、楽しんで実行に移しそうに思えた。
幼い頃から虐め倒し、自分に牙を剥く獣を育て上げる。
自らを、あえて危険な場所へと追い込んでいく。
傍迷惑に、周りを巻き込みながら。
心の内が理解できてしまうのは、己の内にも同様の破滅願望があるからに他ならない。
憐れなのはトラや巻き添えを食った雪夜、その周辺の者達だが、ここは大いにリベンジのチャンスに賭けたいものだ。
チャンスをやれンのはオマエだけだ、いよいよこの手術、失敗できねェぞ、と心の内でルイにハッパをかけながら、自室に戻り、首を長くして連絡を待っているはずの士郎と連絡を取った。
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