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発情(士郎side)
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もっと荒々しく、強引に奪って欲しいのに、素直に言えるほど理性が壊れてもいなくて。
額に置かれた龍之介の手に己のそれを重ね、焦れた想いごとキツく握りしめた。
もっと……もっと深く抱いてくれと。
『……なァに、発情してンだよ?』
「……っ」
していないとは到底、言えなかった。
自分が一番よくわかっていた。
だが、口に出されれば羞恥のあまり否定せずにはいられないのも、またいつものことで。
欲しい気持ちに身を焦がしては耐えるのを繰り返す、その一部始終を、黒曜石の瞳が嬲るように楽しげに見下ろしていた。
この男はいつもそうだ。
欲しがると焦らされて、嫌がるとグッと奥まで踏み込んでくる。
キス一つでさえ、簡単には与えてくれない。
それでいて、一度触れれば濁流に飲み込まれた流木のように心ごと奪い去り、身体の隅々まで龍之介でいっぱいにされてしまう。
スルリと滑り込んでくる舌の動きの巧みさに、驚き身構え抵抗しようとするものの、深く絡め取られて淫らに吸われれば、瞬く間に溶けて、すべての抵抗を奪われてしまう。
形ばかり抗って見せる指先に、龍之介のそれが淫らに絡んだ。
『……ガマンできねェだろ……?』
耳元で毒のように甘い声がささやいた。
『なら、煽れ。火がつきゃ、一晩中でも抱いてやるよ』
「欲し……っ」
『 ……何が?』
嬲るような、実に楽しげな声が降ってくる。
唇を噛み締め、屈辱と甘い疼きに耐えた。
「……っ、おまえ……が……っ」
『惜しいが、もう一息だなァ。オレの、何が欲しい……?』
そこまで言わせるのかと、怒りにカッと目を見開いたところで、
『 ……なら、仕方ねェ』
あっさり引かれた瞬間に、脆くもすべての抵抗が崩れ去る。
「待て……っ」
言う……、言うから……!
『 ……行くな……っ』
こんな寂しい場所に独り切り、置き去りにされたら、たまらない……。
コクリと息を呑み込み、わずかに目を伏せ、再び口を開いた。
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