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楽しんでいこう(龍之介side)
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「オレ……、リューの声、好きだよ。……すげぇ、好きだ」
可憐な花がよそ風に震えるように、少女めいた小振りな唇から、告白めいた言葉がこぼれ落ちた。
責めていたはずなのに一転して、褒めに転じる。
どんだけ自分に甘いのだと、苦笑した。
髪を撫でてやれば、幼い子供のように嬉しそうに笑った。
始終まとわりつかれるのはごめんでも、離れて行かれたら行かれたで寂しいものだと言った、かつてのジンの言葉が蘇る。
自分だけを見つめていた頃とは明らかに違う距離感。
だが、いつまで経っても変わらない情がある。
親離れできない子供より、子離れできない親の方が遥かに厄介だと、苦笑した。
士郎の不在による寂しさを、手近にいる仲間の体温でごまかそうとしている自分に気づく。
甘えさせているようで、実は甘えているのは自分の方なのだと気づいてしまえば、決まりが悪くもあったが、同時にそれを許す仲間の成長が眩しくもあった。
まだもうしばらくはこうして仲間のやさしさに寄りかかりながら、士郎の不在に耐える日々が続くのだろう。
うつむいていても、仕方がない。
どうせなら、思い描ける限りの理想を見据え、駆けて行く。
それくらいでなければ、あの人たらしの恋人を惹きつけておくことなどできはしない。
士郎への尽きぬ想いに突き動かされ、自分は飛ぶ。
再び出会った二人が描く、痺れるほどに熱い未来を信じて。
「久しぶりに、ゲームでも組むか」
「おっ、いいね! ナイフ部門なら、ぜってぇ負けねー!」
「悪ィが、これでも一応はリーダーなんでな。全部門制覇は譲れねェな」
目線を合わせて笑い合うと、2人同時に駆け出した。
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