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泣く(煌牙side)
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「おまえ一人に何もかも抱え込ませんのは、違ぇだろ」
「坊……」
「つってもこの通り、死にかけのポンコツだからな。身体に負担がかかんねぇ程度にしか、動いちゃやれねぇが」
「そんな……、その言葉だけで、もう……っ」
……充分です、と泣きそうに顔を歪める様に、どうしようもなく胸が痛んだ。
おずおずと、雪夜が手の届く距離まで近づいてくる。
「これを使って、指を増やしながら少しずつ後ろをほぐして……、中にたっぷり塗り込めて、それから坊の……にも、しっかり絡めて、……あとは……」
「……あー、だいたいわかった」
真っ赤な顔で力説されると、さすがに色々とヤバイ。
片や雪夜は気力を使い果たしたかのようにぐったりとその場に座り込み、放心状態になった。
ベッドサイドに何とも言えない微妙な空気感が漂った。
「……なら、やるか」
雪夜が動かないのなら、自分がいくしかないと口火を切れば、
「あのっ、今日は……その、してきたので……っ」
慌てたように、言い募る。
「すぐ……挿れられます、から……」
すっと己の目が細まるのがわかった。
「……何勝手にイジってんだよ?」
雪夜なりの気遣いなのだろうが、まったくもって余計なお世話だ。
「……はぁ。やる気失せたわ」
ガシガシと髪を掻き乱す。
「……っ」
「てめぇ一人でヤりてぇなら、棒でも何でも突っ込んどけよ。……寝る」
背を向けて布団に潜り込めば、ほんのかすかにすすり泣く声が聞こえてきた。
……はぁ。
泣くヤツは皆そろって滅びればいいと思ってきた。
自分を憐れむ姿勢にも、涙を交渉の道具に使うあざとさにも、ただただ虫酸が走る。
だが、すべてを失ったかのように静かに泣き続ける雪夜には、逆になぜ声を上げてすがってこないのだと、怒鳴りつけたいような衝動にかられるのだから、仕方がない。
「……もう二度と、勝手にやんじゃねーぞ」
斜めに送った視線の先で、涙に濡れた顔がコクコクと首が千切れるほどに頷いた。
「……体力的にやってやれねーこともある。てめぇがいらねぇ気ぃつかってんのもわかってる。……けど、腹が立つもんは立つ!」
てめぇはオレんだろ、と出かけた言葉を、寸でのところで飲み込んだ。
「ごめんなさい……っ」
自分しか映さない瞳。
そんな相手を、些細な苛立ちでこれ以上泣かせてどうするのだと、雪夜の後頭部に手の平を回し、己の肩にもたせかけるようにしてグッと抱き寄せた。
倒れ込んできた身体が、ピタリと隙間なく寄り添った。
こちらに負担をかけないよう、最大限そっと身体をもたせかけてくる気遣いがもどかしい。
もっと狂ったように求めてこいと、身体の奥底からマグマのような熱が沸き上がってきた。
吐息が湿り気を帯びていく。
チラチラと見上げてくる切なげな眼差しに、負けた。
「……すぐ、できんだろ」
とりあえず挿れさせろ、と耳元でささやけば、雪夜が絶え入るように深く吐息した。
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