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願い(煌牙side)
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「坊……?」
やはりよくないのかと、瞳が不安げに揺れた。
「……違ぇよ。つーか、すげぇ……イイ」
くすぐったそうに、雪夜がふわりと微笑んだ。
「よかった……。ん…っ、僕も……夢みたいに……気持ちいい……」
幸せそうな雪夜を見ていると、どうしようもなく満たされていく。
甘く切なく、胸が痛んだ。
「ずっとこのままでいられたらいいのに……」
そよ風のようなつぶやきに、ギュッと胸が軋んだ。
思わず胸に手をやったが、心配していた発作は起こらなかった。
「坊……?」
「……何でもねぇよ。いちいち心配すんな」
雪夜がよかった……と儚げに微笑む。
「……おまえは……」
「え……?」
「おまえは……どうして欲しい……?」
甘く締めつける内壁の動きに耐えながら、聞いた。
「しょせんは勝率の低い賭けだ。……帰って来れねぇ未来を思えば、このままでいいって気もしてる」
雪夜が目を見開いた。
同時に内壁がキュッと締まった。
「く……っ」
「ん……っ」
互いに息を詰めた。
本能が早く早くと急かしてくる。
昇り詰めたい欲が濁流のように体内を暴れ回り、無意識に腰が揺れそうになる。
だが、まだ雪夜の答えを聞いてない。
何とか甘い高波をやり過ごすと、ゆるゆる息を吐き出した。
雪夜は軽く達したようだ。
白濁を放った様子はなかったが、内壁が細かく痙攣している。
油断すると、すぐにでももっていかれそうなほどの甘い揺らぎが襲ってきて、浅く呼吸を繰り返しながらもうながすように双丘を撫ででやると、夢見るようなほわんと淡く煙る視線が降ってきた。
「僕だけ……」
「……バカが。別にいい……」
何度でも好きなだけイケと言うと、不安げに揺れていた視線がホッと甘く溶けた。
「坊も……」
腰を揺らそうとするのを、止めた。
「……さっきの答えが、まだだろーが」
キョトンとした顔の雪夜が、
「……どちらでも」
すべてを包み込むかのように、淡く清らかに微笑んだ。
「何もかも、坊の望むように……」
「……っ」
この瞬間に、わかってしまった。
はなから共に逝く気なのだと。
それが明日だろうが、数十年後だろうが、何一つ変わりはしない。
ダメだ、おまえは生きろという言葉がどうしても出てこなくて、ただただ息を殺すと、キツく目を閉じた。
切なさや痛みを遥かに凌駕する突き上げるような喜びに、震えた。
自分は独りではないのだと、生まれてはじめて確かな証をもらった気がした。
熱が巡る。
鼓動が重なる。
雪夜が自分から離れられないのではない。
自分が雪夜を振り解けないのだと知る。
「……生きられるだけ……生きる……っ」
やっとのことで絞り出すように、ただそれだけを口にした。
それでいいかと睨みつけるように問えば、
「はい……っ」
再びすべてを包み込むような、春風にも似た、幸せそうな微笑みが返ってきた。
「……っ」
喉の奥に突き上げる何かを、ゆっくり静かに飲み下した。
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