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名前(煌牙side)
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たったそれだけのことでくすぐったそうに……幸せそうに、雪夜が微笑む。
「坊……」
雪夜が自分を呼ぶたびに、何とも甘く胸が震えた。
「……坊」
だが次第に、物足りなくなってきた。
「……煌牙だ。これからはそう呼べ」
「そんな……」
「いいから、呼べよ」
「……煌牙……さん?」
「……悪かねぇが」
何かが違う。
「よけいなもん、つけんじゃねぇ」
「……っ、無理……です…。誰かに聞かれたら……坊が……悪く言われます……っ」
こんな時まで人の心配かよと、呆れた。
いつだって自分の気持ちは置き去りの雪夜に、苛立ちと切なさばかりが募る。
だが自分はともかく、メンツがものを言うこの世界で、雪夜がいらぬ嫉妬を買うのは本意ではない。
「……仕方ねぇから、妥協してやる。二人の時だけでいい。……煌。そう呼べ」
呼ばねぇなら返事しねぇぞと突っぱねれば、
「そんな……っ」
雪夜が泣き出しそうな顔をした。
動揺するたびに、吸いつくように未だつながったままの中が締まる。
熱く湿った粘膜の誘惑に、必死に耐えた。
気持ち的には抱きたくても、さすがに一晩に二度は、壊れかけた身体には負担が過ぎた。
ならば……と、雪夜のツルンとした雄に手を伸ばす。
「ひゃ……っ」
ゆるゆると扱けば、甘い悲鳴が次々溢れた。
キュンキュン締まる中は、昇り詰めるほどではなかったが、これはこれで真冬に湯船に浸かった時のような緩やかな心地よさがあって、悪くなかった。
「ふぁ……ぁ、ん…っ、ダメ…っ」
「……こんなに濡らして、何言ってんだか」
包皮を剥いて、露出したピンクの先端にクルクルと指をはわせば、ビクビク腰が跳ね、さすがに己も兆してくる。
仕方なくつながりを解くと、雪夜が絶望的な顔をした。
「やぁ……っ」
母親と離された赤子のような悲鳴に罪悪感は募ったが、無理なものは無理だ。
代わりに前を扱いていた指をハクハクと息づく奥にくれてやる。
「……ドロドロだな」
「や……っ、掻き出さないで……っ」
痛いほどに指を締めつけながら、雪夜が拒む。
出された精液を惜しむなど、完全に雌の思考だ。
この男らしさの欠片もない身体なら、もしかして本当に孕むのではないかと、バカな思いが過る。
「……んなに欲しいなら、また近いうちにくれてやるよ」
驚きに見開かれた瞳が、甘く溶けた。
「……嬉しい」
「……っ、なら呼べよ。呼ばねぇなら、しねぇからな」
すると、ついに覚悟を決めたように、雪夜がつぶやく。
「……煌?」
こちらをうかがい、ためらいがちに小首を傾げる様は、まるで雪の中、寒さに震える小動物のようだ。
愛らし過ぎて……参る。
「……っ、やりゃ、できんじゃねーか」
内心の動揺を押し殺し、明後日の方を向きながら、そっけなく返す。
「……どうしよう。幸せ過ぎて……坊がやさしすぎて……怖い……」
「やさしくねぇし、坊でもねぇ」
「……煌」
「……おう」
自分で呼べと言ったくせに、やたらと照れる。
こんなのは自分じゃない。
こんな自分は知らない。
「……代われ」
イカせてやりたかったが、どうにも怠くて、続けられそうにない。
仕方なく引き抜いた指のヌメりを、雪夜のそれに移してやった。
雪夜の瞳が寂しそうに揺れた。
突き放されたと感じているのならそれは違うと、言葉を継いだ。
「……見ててやるから」
ちゃんと伝えてやらないと、この子供はすぐに揺れる。
手がかかって、とんでもなく面倒なのに、微笑み一つで帳消しとは、いったいどんな魔法だと呆れた。
「イク時は……呼べ」
恥ずかしそうに……それでいて幸せそうに、はい、とうなずいた雪夜が、己の指で溶けた奥を探る。
ローションと混ざり合って泡立った奥に出したばかりの白濁が、ピンク色の蕾から溢れてくる様に、息を呑む。
どれほど乱れても可憐で、数多の男を知っているはずなのに、まるで新雪のように穢れを感じない。
汚れ切った自分には眩しくて、過ぎた贈り物にも思えたが、もうどうにも手放してやれそうになかった。
達する瞬間、雪夜が一際高く啼き、淡雪のように甘く儚く、まるで宝物か何かのように大切そうに自分の名を呼んだ。
「ぁ…っ、煌……っ」
世界がキラキラと輝き出す。
意識が甘くかすみ、遠のいていった。
だが、不思議なほど恐怖は覚えなかった。
目覚めればそこに雪夜がいる。
信じて疑わない自分がひどく滑稽で、愉快でくすぐったくて、たまらないほど幸せだ……そう思った。
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