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溢れる(龍之介side)
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『……ひどいヤツだ』
「わかってて惚れたンだろ?」
答えはない。
それがそのまま答えだと、このストイックの塊のような男は気づいているのだろうか?
必死に恋人の不在に耐えようとする士郎に、込み上げる愛しさを噛み殺しながら、小さく笑った。
眼裏に、組み敷かれ奥を穿たれ、どうしようもなく溶けた士郎の瞳が浮かんでは消えていき、たまらずに己の唇を噛み締めた。
「……今すぐ飛んで帰って、めちゃくちゃに犯してやりてェなァ」
『……っ』
「オマエは? ……欲しくねェの?」
『……はぁ。言わせてどうする……?』
どうせ帰ってなど来られないくせに。
言下にさらされた本音に、ギュッと胸の奥がキツく引き絞られた。
「……帰りてェけど、帰れねェ。だからよ、言葉だけでも欲しいンだろーが」
下手に出て甘えれば、深いため息が聞こえた。
『……おまえの手を、肌を……その声を。……思い出さない日は、一日もない……』
聞き逃しそうなほどかすかな声が、溢れんばかりの熱量を抱えながら、耳を打つ。
「……っ、ンだ、そりゃァ」
……ヤベェだろ。
壁に背もたれ、思わず口元を覆った。
ここが廊下だと忘れてしまいそうになる。
キツく目を閉じて、脳内で反響する士郎の言葉に酔った。
「……今、部屋か?」
『……? ああ』
「……コッチもよ、速攻で部屋に戻るから、ぜってェ切るンじゃねェぞ?」
唸るようにそう告げると、勢いよく自室目指して駆け出した。
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