アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
殺気(龍之介side)
-
「……なぁ、リュー」
マコトのささやきに、わかってると頷いた。
肌を刺すのは明らかな殺気だ。
とはいえ発信元を特定できるほどダダ漏れなわけでもない。
試合に見せかけて、急所をつく。
これほどいいチャンスはなかった。
チラリとジンに目をやれば、これ見よがしな笑みが返ってきた。
だよな、と眉を上げて応えた。
ジンに限って子供の行く手を遮る障害を取り除くという発想は、皆無に等しい。
面白ければ万事OKと、高みの見物を決め込んでもいる。
それが逆にありがたかった。
「ったく、世話の焼けるリーダーだよな」
マコトがボヤく。
「……手ェ出すンじゃねェぞ。ありゃ、オレの獲物だ」
「はいはい」
試合にかこつけた、殺し合い。
いつどこから毒矢が飛んでくるとも限らない。
そんな緊張の中で、腕に覚えのある男達と闘う。
組織の長というのも案外捨てたものではない。
たぎる興奮に焼かれながら、初めて心の底から楽しいと、そう思った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
176 / 297