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開戦(龍之介side)
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10メートル四方のリング3つで、同時にトーナメントバトルの一回戦が行われていた。
種目は、素手、ナイフ、ペイント弾の3種。
外野では順番待ちの輩が身体を動かしながら、試合の様子を眺めていた。
威嚇してこちらの集中を乱すのが狙いなのか、相変わらず殺気は絶えずまとわりついてきた。
時に激しく、時にかすかに、特定しようとすると霧のように闇に紛れる辺りに、敵の力量が透けて見えた。
……面白ェ。
身体がヒリつき、それ以上に心が昂ぶった。
こんな時、下手をすれば抱き合う時以上に燃えるなどと言ったら、あいつはどんな表情をするだろう?
ならば思い知らせてやると、隠された闘志を剥き出しにして挑んできそうだ。
それとも傷をひた隠し、ただひたすらに耐えるのか。
どちらに転んだとしても、悪くない。
我慢強い男が傷つき耐える様は鮮やかで、よりいっそう嗜虐心をそそる。
「ニヤけてる場合かよ」
マコトに足の甲を踏まれ、ニヤつく己の頬をアゴとともに撫でた。
「……想像ぐれェ好きにさせろ」
「余裕かましてる隙を突かれて、飛んできたナイフがたまたま急所に刺さる。んなことだって、あるんだからな」
「そン時ゃ、そン時だろ」
とはいえ本当に危険な時は、理性ではなく野生の勘が働くはずだとの自負がある。
何も感じないほど恋に狂い、落ちぶれた、その時は。
それこそ大人しく散るだけだ。
面白おかしく生きてきた人生に、悔いはない。
かといって、あの人たらしを一人残していくつもりなど、あろうはずもないのだが。
「急に鋭い顔になってやんの。どーせ、あいつを人に取られる想像でもしたんだろ?」
「……よくわかってんじゃねェか」
「たりまえだろ」
「そりゃ、前も後ろも捧げた相手だもんなァ」
「……っ、だから、おかしな空気作んの止めろって! ただでさえリューがしゃべるだけで、外野が色めき立つんだからな!」
仮にも試合前なんだぜ、とマコトがプリプリと怒る。
チラと周りに目をやれば、今にもヨダレを垂らしそうな目でこちらを見ている輩や、下腹部を膨らませて前屈みになる姿が見て取れた。
「……オレのせいかよ」
ボヤきながらも、色に目が眩んだ輩と戦っても面白くないのは確かだった。
少し外野のバカどもにも目を醒ましてもらうかと、マコトを見た。
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