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楽しみ(龍之介side)
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「そこまで! リューの勝ちだ」
レフェリーが止めに入る。
途端にピクピクと震える敵の下腹部が、ジワリと濡れた。
半ば意識を飛ばし恍惚とした表情をさらす様は、ひどく憐れを誘う。
「えげつねーなぁ」
「けど、強ぇわ」
「つーか、あの声はマシンガン並みにやっべーな。どう対抗するよ?」
勝負が決まるなり、賞賛とブーイングが山のように降ってくる。
「お疲れ!」
マコトが、先ほどの軋轢など忘れ去ったかのように、満面の笑顔で肩を抱いてきた。
「調子いいじゃん!」
この後を引かなさがマコトのいいところだと、ひょいと眉を上げた。
当然それを見守るユージンは渋面だったが、その表情が面白くて、あえてサンキュ、と、これ見よがしにマコトの髪を撫でた。
ついでに感じやすいうなじの辺りをくすぐってやると、
「ふぁ……っ」
不意をつかれたマコトから、甘い声が上がる。
「……っ」
痺れを切らしたユージンがマコトの手を引いて、触るなとばかりに腕の中に囲い込んだ。
「……ンだよ、ほんのちょい触っただけだろーが」
過剰反応すンなとからかえば、股間に高速の蹴りが飛んできて、慌てて避けた。
「ははっ。ンな熱くなってっと、上まで上がって来れねェぞ?」
「おまえこそ、オレと当たるまでに負けるなよ?」
「宣戦布告かよ? ……イイぜ、乗った」
楽しみの要素はいくつあったっていい。
「オマエとは一回ヤり合ってるからな。……弱ェトコは一通りわかってる」
目を細めて下から上へと、舐めるように視線をやれば、外野から黄色い野次や口笛が飛んできた。
「……おかしな言い方をするな」
「おかしなって、何だよ? ……オレァただ、拳を交わしたことがあるっつっただけだろ?」
それとも何かエロい想像でもしたのかよ?
「……このムッツリが」
脳の奥深くに毒を塗り込めるかのように甘く貶めれば、ヒクリとユージンの目元が震え、喉が鳴る。
「後でたっぷりかわいがってやっから、あンま先走ンなよ?」
肩に手を置いて、クックと笑いながらすれ違う。
殺気混じりに追ってこようとするユージンを、マコトが必死に止めている声が聞こえたが、次の試合が始まると、やがて大人しくなった。
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