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夏休みと小旅行②
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(葵語り)
「島田?島田 真理(まさみち)のこと?」
廊下で熊谷先生に会ったので、早速聞いてみた。
やっぱり知ってた。生活指導してるし、生徒の名前は沢山覚えてるのかな。
さすが熊谷センサーだ。
「お前、たしか同じクラスじゃなかったか?知らないの?。」
「ええ……まあ。」
知らない。ハルトとかサッカー部の奴しか覚えてない。
「葵は、自分の周り以外見てないもんな。あいつは目立ってるよ。
色々問題を起こしてるし、有名だよ。先生の間でも。」
「目立ってるって、ヤンキーなんですか?」
そしたら、熊谷先生が大笑いをした。
「ヤンキーって。違う違う。葵は面白いなー。
あいつのことを本当に知らないんだな。
島田はね、男女ともに遊びが激しくて……俺から見たら、葵と種類が似てると思うよ。
なんか、儚いっていうか、艶っぽい空気を持ってるところが同類。」
明らかによくないヤツと同類……。
また儚いとか艶っぽいとか俺が嫌いな表現を使ってきた。
「知らないけど俺とは似てないと思います。その表現やめてください。」
「新学期が始まったら、話しかけてみたら?気が合うかもよ。」
気が合う予感すらしないけど……
複雑な表情の俺に、熊谷先生がにっこり笑った。
「あっそうだ、葵。」
話を終えて立ち去ろうとしたら、呼び止められた。
「夏休みは忙しい?補講が終わって追試をクリアしたら、ご褒美にどこか連れて行ってあげるよ。」
俺が答えに困ってると、熊谷先生は頭をポンポンと叩いて言った。
「この間、俺が好きって言ったこと気にしてるんだろ?
気にしなくていいから。何もしないよ。
気晴らしにどっか行こうって誘ってるだけだよ。」
やっぱバレてた。
自分の中でこの感情をどう処理していいか分からなくて、学校以外の場所で会うと余計意識してしまいそうだった。
「………ご褒美なら、美味しいものとか、食べたいです。」
「よし、じゃあ、美味しいものを食べに行こう。」
日にちメールするからと約束して、熊谷先生と別れた。
その前に追試をクリアしないといけない。
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