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熊谷先生の憂鬱1
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(熊谷先生語り)
朝起きて煙草を吸いながら、ぼんやりとテレビを見ていた。
テレビに記された今日の日付が、昔付き合った女の子の誕生日だったことを思い出した。
やたら記念日にこだわる子で、特に誕生日は大変だった。
結局それが嫌で別れた。
そんなことを今思い出したところで、何の得にもならない。
過去の恋愛を振り返って、自分の何が悪かったか考えることが多くなった。
テーブルのスマホを確認する。
メールもLINEも着信もない。
葵から、何の連絡もない。
付き合うことになった(はず)のに、葵からは何も連絡して来ない。
しりとりの末にした安っぽい少女マンガのようなキスは嘘だったのかと、何度も自問自答した。
年甲斐もなくドキドキして、覚悟を決めて道徳に反することをしたのに、反故にされるのだろうか。
かれこれ二週間経つが、俺が送信しないと返信がない。電話も同じだ。
昼ご飯も、バレると大変だから別々で食べたい、と葵が言い出した。
担当学年も違うので学校内で会うことも少なかった。
おまけに、テスト期間中で部活も休みで姿も見ていない。
完全な葵不足だ。
本当に葵は、俺のことが好きなんだろうか。
俺が無理矢理言わせたのではないのか。
そんなことまで考えるようになった。
一人でいるとロクなことを考えない。
仕事へ行くための支度を始めた。
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