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熊谷先生の憂鬱7
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(熊谷先生語り)
青木先生の告白にはびっくりした。
あの人はゲイなのか。
俺は葵が好きだけど、男が好きなわけではない。
彼は意味深な言葉を残していった。
次会った時、どんな顔をしていいのかわからない。
いやいや青木先生のことなんてどうでもよくて、葵のことが問題なんだと一人で悶々とする。
廊下で考え込んでいると、生徒の団体とすれ違った。
この先の視聴覚室に行くらしい。
生徒の団体の中に、見慣れた愛しい姿を見つけた。
葵がいた。
「伊藤君っ、ちょっといいかな。」
考える間もなく、葵の手を引っ張っていた。
「えっ?あっ?ちょっと……」
周りのクラスメイトがからかうように一斉に笑う。
「葵、何したんだよ? 熊谷に直接呼ばれるなんて、よっぽどだぞ。」
笑い声を背に、階段の踊り場の隅に連れて行った。
「何ですか、授業始まっちゃう。」
眉間にシワを寄せた顔も可愛いと思えるのは、色メガネのせいだろうか。
「葵、元気にしてた?」
久しぶりすぎて、田舎のオカンみたいな言葉しか出てこなかった。
「はい。元気ですけど。」
「よかった。テストが終わったら会おうよ。」
「すみません。部活の試合が。」
「休みの日も?毎日?」
「たぶん……。もういいですか…………ごめんなさい。」
俺を避けるように走っていってしまった。
何故に断るんだ。
俺たちって付き合ってるよな?
不機嫌の理由が、全く分からない。
相変わらず可愛いかった。
会えて嬉しかったのに、一気に気持ちが萎えた。
しゅんとした。
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