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真理と和樹1
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(葵語り)
日曜日の夜中に熱が出た。
高熱でぼーっとした頭は何も考えられず、ひたすら寝た。
寝て寝て寝まくった。
余計な事を考え出すと止まらなくなるので、好都合だった。
結局三日間熱が出て四日目にすとんと下がった。
まるで解毒したかのようにスッキリした。
発熱にはデトックス効果があるって聞いたことがある。
積もり積もった毒で俺の身体は限界だったのかもしれない。
久しぶりに学校に行くと島田がすり寄ってきた。
相変わらずの軽さは健在だ。
「葵くーん、寂しかったよ〜。山本とお弁当食べるのに飽きたし。会いたかった〜。」
島田、くっつきすぎ。
それに山本じゃなくて山本『さん』でしょ。
山本先輩も島田の言いなりになりすぎだ。
島田は俺の顔をじっと見た。
「熱のせいなのかな。いつもより色気が3割増しぐらいあるよ。なにかあった?」
「何にもないから。」
「うっそだ〜。ピンク色背負ってるよ。」
背負ってません。
3割り増しって……細かいな。
島田はこういう色恋にはすごく敏感で察知するのが早い。
使い方次第ではいい感覚だと思うのだが、
今のところいい使い方はしてない。
先生とは音楽室に移動する時すれ違った。
すれ違った時、一瞬手と手を合わせてきゅっと握り合う。
手だけの短い逢瀬。
手が触れ合うだけでも充分幸せ。
俺は部活があるし、先生も仕事があるのでしばらく会えない。
会えるのはクリスマス近くの冬休み始めになると思う。
実はクリスマスというものが苦手で、恋人と一緒にいるというのも……あんまり……。
だからクリスマスにはこだわっていない。
冬休みは少しでも会えたらいいな、と思う。
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