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兄さんは、幼い頃とても明るかったんだ。
音楽が好きで、絵を描く事が好きで、
歌がとても上手だった。
僕の骨が痛んでいる時、
慰めようと兄は僕に、
アイドルの振りを真似て、踊って歌ってくれた。
凄くカッコ良かった。
ピアノも弾いてくれた。
とても上手で、ピアニストにもなれると、
自慢したくなる兄さんだったのに。
いつから弾かなくなったのかな。
歌わなくなったのか。
僕をいつも第一に考えてくれて、
学校から一目散に帰って来て、
家で過ごすばかりの僕の相手をしてくれた。
弟の僕から見ても、兄は綺麗な顔をしている。
少し憂いを帯びたような程よい大きさの二重の目は、
長い睫毛で飾られている。
綺麗な形の唇は、とても美しく、笑うとエクボが出来る。
サラサラの茶色い髪。
女の子みたいだ。
よくそう言われてからかわれたようだけど、
兄は気にも留めなかった。
パステルカラーを好んで、
部屋のファブリックは、
シャボン玉に映るレインボー色の様だった。
なのに、、、今のこの部屋、、、
グレーのカーテン、
黒とグレーのチェックのベッドカバー、
無機質な部屋に、
木製の勉強机だけが、
昔の潤を思い出させるように、存在していた。
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