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2人は、逢瀬家のリビングに通された。
ナチュラルな雰囲気で、
どちらかと言えば、
男の子2人の家にしてはメルヘンチックな部屋。
手入れのされたたくさんの観葉植物。
布張りのソファーは、パッチワークのカバーがされている。
パイン材のローテーブルは、円形で心を落ち着かせる。
日向は、自分の家と少し似ている、と思った。
「来てくれてありがとう。
潤の友達が来てくれるのは、もうどれだけぶりかしら」
そう言って目尻に涙を溜めた。
「潤は、まだ入院中なのよ。
まだ、退院の目星もつかなくて」
そう言い淀む佳子に、日向が待ち切れず、聞いた。
「潤くん、どこが悪いんですか?
僕ら、お見舞いに行きたいです。
病院、教えてください!」
日向の温かい一生懸命な気持ちに、佳子の心が緩む。
「潤は、、、、」
しばらく、言葉を探すようにして、続けた。
「お見舞いって言ってくれてありがとう。
詳しいことは話せないのだけれど、
まだICUなのよ。
行ってくれても、会えないと思うの」
2週間以上経ってもICUだなんて!
2人は潤の重篤さを知って驚きが隠せない。
病院の名を聞けば、大病院だ。
逢瀬潤は、そこの長男なのだと知った。
逢瀬家を出て、2人は無言で歩く。
そして、日向が急に立ち止まって天海を見上げた。
「僕、すぐ病院へ行きたい。
じっとしていられないよ。
天海もでしょ?僕は、行くからっ!」
「おい、、おい、!待て!俺も行く!」
飛んでいく勢いで走る日向を追いかける。
果たして、ICUの潤に会えるのか、面会時間もある。
それでも、日向は、潤に会いたくてならなかった。
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