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幼い潤は、真実が退院してくると嬉しくて、
ずっと弟を眺め、
歌ってやり、絵本を見せてやって、
マコかわいい、マコかわいいと言って溺愛していた。
『骨が折れやすいから、マコに触れる時はそっとね。』
と佳子から言われ、
普段は、潤が間違って真実にぶつからないように、
サークルの中に真実は寝かされていた。
真実は、本当に何でもないような事で骨折した。
つかまり立ちしようとして折れ、
足元のおもちゃに躓いて折れ、くしゃみをして折れた。
潤のそばで、急に痛がって泣く真実を、
幼い潤は、とっさに弟を抱きしめた。
優しい兄の、思いやりに溢れた行動。
「マコ、、マコ、、どうしたの?」
なおさら悲鳴のように泣く真実に、
佳子が潤を思い切り引き剥がしていた。
潤は、その時後ろへ倒れ、驚きの表情で佳子を見つめた。
その時側にいた私は、潤を安心させるために抱き上げ、
大丈夫だよと声をかけた。
しかし、潤に抱きしめられて、
真実、、マコは痛がったのだ。
潤は3歳だった。
思わずしてしまう行動は善意そのもので、
ただマコが大好きで可愛くて、
その表現をしただけで、マコが苦しんで、佳子が狼狽した。
佳子もまだ若かった。
潤が側にいると、
いつ何をするかわからないから、不安だと言った。
潤が憎いわけではない。
潤のことも気にかけて、寂しがらないようにと潤のための時間も、でき得る限り作っていた。
佳子は、どれだけ大変だったろうか。
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