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〃 ⑤
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「純の事は好きだが……
………しかし、恋人って、女の人の事を言うのだろう?」
哲が、戸惑いがちに 御幸と降谷を見る。
「…ぼくは、純さんの近くにいて、もっと話とか
出来たら良い、と思ってます」
ボソリと、降谷が言い、
「それが、”好き“ってコトかは分かりませんが」
と続ける。
「降谷さ、純と白くまと、どっちが好き?」
いたずらっぽく亮介が聞く。
「何で シロクマ?!」
と、御幸がツッコミを入れる。
「春市に聞いたんだけど、降谷って白くまを
尊敬してるんでしょ?純とどっち?」
問われた降谷は、白くまを思い浮かべ、幸せそうだ。
(白くま…もふもふ…純さん…髪の毛もふもふ?)
ぱぁーっと顔が明るくなり、ほくほくオーラが出ている。
「あー、これは 甲乙つけ難いと見た」
亮介が面白そうに言う。
「オレは白くまの方が いいな。純は吠えてウルサイから」
と、付け加える。
「吠えない純は、純じゃない」
と、哲が口を出す。
「オレは」
御幸が 突き動かされるように言うと、
「ん?御幸は白くま派?」
と、亮介が 混ぜ返す。
「そうじゃなくて!」
ふう、と ひとつ息をついて、御幸が続ける。
「オレは…純さんが好きです。抱きしめたいし、キスとか…独り占めしたいです!」
(独り占めはダメ)と、降谷が 牽制のオーラを出してくる。
「オレ、好きだ、って純さんに言いました。
……でも、断られて…
…純さん、好きな人がいるって…
哲さんですか?って聞いても、答えてくれなくて…」
御幸の告白を聞いて、“ほらね”と ばかりに亮介が
哲を見る。
事の成り行きにオロオロしながら、増子も哲を見る。
「そういう事は、あって良いのか?」
哲が、誰にともなく、聞く。
「男が、男を好きになっても……
俺が純を好きになっても、
そういう事は、あって良いのか…?」
「好きになったら仕方ないよ」「仕方ないです」
「うが」
亮介逹が、口々に言う。
そうなのか、と考え込む哲。
「でも、オレ、諦めませんから 」
御幸が言う。
「オレ、振られたけど、でも、まだ」
「ぼくだって」
と、降谷が遮るように言う。
「御幸先パイに独り占めされるのは、イヤです」
「哲に対抗するのは、大変だよ?」
と、亮介が挑発するように聞いてくる。
哲が純のことを好きだ、と言うのなら、それは
勝ち目は 無いだろう。
でも。それでも。
想っていたい。傍にいたい。許されるなら触れていたい。
御幸と降谷の気持ちを感じた亮介が
「ふーーん………じゃあ、好きにすれば。
でも、チーム内でゴタつくのは、やめてよね」
と、釘をさす。
それぞれが、それぞれの想いに気付き、気付かされ、戸惑いは あるが、立ち止まる訳には いかない。
夏の予選は、まだ続く。
(恋に勝負に、人間関係に……大変なコトになっちまってるぜ)
御幸が ひとりごちる。
だが、勝ち進んで甲子園に。
その願いは、誰も同じなのだから…
(それに、勝ってる間は、純さんと野球できるし!
と、下級生逹は、楽観的に考える…)
おしまい
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