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〃 ③
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「純さん…もう泣かないで下さい。
…純さんのせいじゃ」
「うるせぇ…ッ!」
オレの気持ちがお前に分かるかっなどと傲慢な事は言いたくない。
純は、目に力を込めてギリッと睨む。
泣きはらして目が赤い。
「純さん」
愛しい人の苦しんでいる姿に、御幸も苦しくなる。
思わず手を伸ばして純を抱きしめる。
自分も、あの敗戦は堪えているのだ。
純さんを慰める振りをして、自分の苦しみを軽くしたいのかも知れない……。
おとなしく身を寄せてくる純に、御幸の胸は締めつけられる。
立っている自分の腹の辺りに、純の頭を抱え込むと
涙で Tシャツが濡れてくる。
「純さん…」
掛ける言葉が見つからずに、そっと背中を さする。
すると、
「……野球の神様なんていねぇ」
ボソリと純が言う。
「…え?」
「そう言ってたヤツがいるんだ………オレは そいつを笑ったけど…………今なら分かるぜ………」
はあ、と大きな ため息をつき、また声を殺して肩を震わせる。
何を言っていいのか分からない御幸は、ただ純の背中をさするだけ。
(もし、純さんが このまま ここにいるのなら、
オレは いつまででも この背中をさすっていよう。
何も言えないけれど、寄り添っていたい。
純さんを想うことで オレの気持ちは軽くなっていく……卑怯だよな、利用してんのかよ…
でも、今、お互いに必要な存在同志だろ…?
…たぶん 純さんにとっても そうだよな…?)
御幸の胸を色々な気持ちが浮かんでは消える。
いつもより小さく見える背中を そっとそっと
さすり続ける。
「……………いいのかよ、御幸……?」
突然、純が 低い声で呟く。
「…何が ですか?」
「…………今なら……オレは……お前の、思うまま、
だぜ…………?」
「…えっ 」
言葉の意味を図りかね、御幸が息を呑む。
(思うまま………って、オレが思う そのままの意味、
なのか…………?!)
「何、言ってんスか、純さん!今日みたいに無防備な純さんを どうこう出来る訳ないじゃないスか!」
動揺を隠し、わざと明るい声で 御幸が答える。
「………オレが、抱かれたいって、言っても……か?」
告げられた事の衝撃に、御幸は言葉を失う。
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