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〃 ④
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(だって……純さん………!!)
純の肩を両手で掴み上体を起こす。
俯いていた純の顔が上げられ、御幸を見つめる。
その瞳の あまりの冥さに、御幸は圧倒される。
「だって……純さん」
思わず声が漏れる。
「好きな人、いるんですよね…?」
「ああ」
「…オレに、気持ちが、向いてないんですよね…!」
「……ああ」
純が力のない瞳で見返してくる。
すると、クッと苦笑いをして、純が続ける。
「……最低だな、オレは…」
御幸の手から離れて立ち上がり、
先輩の矜持とばかりに ニカリと笑おうとするが、
口元が わずかに 歪むだけ。
そして、また、涙がこぼれる。
「…! 」
右手で目元を覆い、食堂の出入り口に向かう。
ゴシゴシと涙を拭っている。
あまりに頼りなく見える背中に、思わず御幸が
声を掛ける。
「純さん!」
純は、立ち止まるが何も言わない。背中を向けたままだ。
「これから…どうするんですか…?」
(このまま 一晩中 泣いているのだろうか、
この人は?)
「………部屋に帰っても、眠れそうにねぇしな…
時間も早ぇし…
いつもなら素振りでもするが……
今日のオレが素振りしてたら、他の奴が気ぃ遣うよな………走るか。ぶっ倒れるまで…!」
(ダメだ、ダメだ、ダメだよ、こんなに無防備で
弱くなっている この人を1人にしちゃ…!
さっき、思ったじゃねぇか、ずっと寄り添っていたい、って!)
「純さん…っ!」
御幸が駆け寄り、背中から覆い被さるように、純を抱きすくめる。
「オレと いて下さい。
今日は、ずっと、
……オレと………!」
御幸が純の頭に頬を寄せる。
純が体を預けてくる。
その顔を こちらに向け、そっと唇を奪いにいく。
涙の味が、した。
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