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生徒会長
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手のひらに頬ずりしながらキスをして好きと繰り返す康汰の感触や声を感じないように、聞こえないように、片手を握りしめた。
親友だと思っていた拓海の事、良い後輩だと思っていた康汰が何で俺なんかに好きというのか分からないし理解も出来ない。
考えても考えても、男の俺にキスをして犯したいと言い視界を遮られ、俺の為に抉ったという傷からの血液で手と頬が汚れている状況に“異常”という二文字しか浮かんでこない。
俺の知ってる二人の姿は、もうほとんど思い出せない。
ただ、おかしくなってしまった二人にされた事だけがグルグルと思い返される。
「っ……気持ち……悪い……」
考え過ぎた事とこの状況にそろそろ耐えきれなくなったのか、強い頭痛と吐き気が襲ってきて思わず独り言を溢した。
思わず口から溢れた独り言にハッとして、よく耳をすましてみると相変わらず康汰は愛を囁いて拓海は何も言わなかった。
「……っ」
ホッとした瞬間、強い吐き気が襲ってきて口を押さえようと手を動かして見るが、手錠と康汰が手を拘束していて動かせる訳なかった。
吐き気を何とかやり過ごしてもまた次の吐き気が俺を襲う。
何回か耐えてみたが、一番強い吐き気が襲ってきて耐えきれなくなり拓海の名前を呼んだ。
「……拓海……吐きそうだから手錠を外し……」
拓海に「手錠を外してくれ」と言いかけた時、頬に柔らかい布のような物が触れ優しく汗と頬に付いた血を拭うように動く。
視界が働かないせいで感覚が研ぎ澄まされているせいか、布のような物が触れる度にビクリ体が動いてしまう。その度に布の動きは止まったが直ぐに汗や血液を拭うために動き出した。
汗や血液を拭ってもらう度に、少しずつ吐き気が治まっていく気がする。
思わず「ありがとう」と言いかけてこの状況がまたおかしい事に気づいた。
拓海は相変わらず俺の目を塞ぎ、康汰は俺の手に頬ずりしているので、俺の頬を拭える筈がない。
また二人とは、別の人物だと分かり吐き気が振り返す。
俺は、吐き気をギュッと瞼を閉じてやり過ごしながら、もし、この汗を拭ってくれてる人物も俺の友人だとしたらと思い更に吐き気は増していく。
知らない人でも他の友人でも、この状況で助けないのであればきっと助けては貰えないんだろうなと思い吐きそうになった。
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