アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
五人の友人達
-
渉が囁いた後に、俺はまた首筋を手で包み込まれて香坂に口を手で塞がれた。
視覚も聴覚もほとんど役に立たない中で、首を絞められるのかと思うと流石に今度は助かりそうにないなと嗤いながら俺は強く瞼を閉じた。
「……っつ」
強がって心の中で自分を嗤って見ても、渉の指先が首筋に触れてガタガタと体が震え始めた。震えを止めようとするが限界が来たのか止まる気配はない。
最悪な事に頭の中には、五人に囁かれた言葉がぐるぐると回り始め頭がグラグラする。豹変した五人の記憶と豹変する前の五人の記憶が混ざり合って訳が分からなくなっていく。
胃液がせりあがってきて口の中に苦さが広がる。今すぐに此処から逃げ出してしまいたいと思っていると今まで黙っていた拓海が口を開いた。
「そんなに怯えんなよって言っても無理か。まぁ、でもなんで此処に居るのか理由……分かっただろ?」
拓海は、子供を慰めるような声でそう言うと俺の髪にキスをしてずっと目を塞いでいた手を簡単に退けた。
俺は、驚いて瞼を閉じた後に恐る恐る瞼を開けた。元々薄暗い部屋で光が急に目に入ってくる事はなく光で驚く事はなかった。
瞼を開けた先には、久しぶりに見る外の景色が広がっていて安心して震えは治まったが、視界の先にいた四人と目が合ってしまった。
一瞬だけ目が合った四人は、嬉しそうに微笑んできたが少し余裕が出てきた俺は四人の顔から直ぐに視線を逸らした。
「っ!」
視線を逸らしていると、痛いくらい強く手を握られ視線を向ける。
視線を向けた先では、地腕が抉れ服のあちらこちらに血液が付いた康汰が地面に座り込み、明るめの茶髪を揺らし瞳に涙を溜めながら乾いた血液で汚れた俺の手のひらを必死に舐めていた。
「司さんこっち向いて下さい。愛してます……誰よりも愛してるんです」
康汰は、壊れたロボットのように俺への愛を囁きながら手に付いている乾いた血液を舐めとっていく。
康汰が舐める度に、舌の感触の感触が伝わってきて気持ち悪い。手を動かして康汰の手から逃れようと思うが拘束されていて動かせない。
康汰を横目で見ると泣いていた。その顔を見ていると豹変する前の康汰の事が過ぎり、馬鹿な俺は手を動かすのを諦めて視線を逸らした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
16 / 42