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模擬店の準備-2-
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教室に入ると、教室の隅で仁王立ちしている林と香坂が一緒にいた。
さっきまで、香坂の周りにいた女子たちは香坂に「作業してて」とでも言われたのか、香坂を一瞥しつつ準備に取り掛かろうとしている。
林は、クラスメイト達に見られている事など微塵も気にもしていないのか、香坂を見据えながら喋り出した。
「女をはべらせるのも結構だけど、文化祭の準備を優先して欲しいのよね。準備が終わればいくらでもはべらせられるでしょ? それと、里中たちまで引き止めないで」
「林さんごめん。今度から周りに気をつけて行動するようにするよ。だから里中たちや女の子達の事怒らないでやって……ごめんね」
「別に里中たちの事は怒る気ないわよ。そんなに素直に謝らないで。ただ、注意したかっただけだし後で女子に色々文句言われるのも嫌だし、分かってくれたならいいわ。じゃあ、準備に取り掛かりましょ」
林は真面目な性格で、普段なら香坂がイケメンだろうが容赦はしない奴だが、今日は文化祭だからか比較的優しい気がする。
林のお許しが出た香坂は、少しほっとした表情を浮かべながら林の指示を受けて持ち場についた。
準備に取り掛かりながら笑っている香坂を見ると、さっき感じた“咎めるような視線”を送る奴には到底見えない。
今此処にいるのは、夢で見たあんな視線を送る香坂とも違う人気者で気のいい友達の香坂だ。
……やっぱり、さっきのは気のせいなんだとほっとしていると“ペシッ”と何かで頭を叩かれた。
「いてっ!」
そんなに痛くもなかったが吃驚してつい大きめの声を出した。叩かれた所を撫でながら振り返ると丸めた新聞を持っている林がいた。
「……吃驚した。いきなり叩くなよ」
「ぼーっとしてるからよ。それより、早く準備して。何もしてないの里中だけよ」
林にそう言われて辺りを見渡すと本当に俺だけ作業に取りかかっていなかった。
恐る恐る、林を見ると“ほらね”とでも言いたげな顔をしながら和久の方を新聞紙で指しながら背中をトントンと押してきた。
“和久の所へ行け”という事だと分かり、「ごめん」と言って足早に林の元離れた。
和久の所へ行くと、数人のクラスメイトと会場のセッティングをしていた。
和久は、クラスメイトと楽しげに喋っていたが俺に気がつくとニヤニヤしながら近づいてきた。
「おやおや? 司君は、林にこってり怒られてきたのかな?」
「見てたなら怒られるような事してないって分かるだろ。作業するなら俺も呼んでくれよ。あと顔が気持ち悪い」
「呼んだけど気づかなかったのお前……っ!」
俺は、ニヤニヤしている和久の顔の気持ち悪さと苛立ちで和久の脇腹を殴って作業に取り掛かった。
後ろで、和久が悶絶するようにしゃがんだ気がしたが俺は特に気にしない事にした。
準備と言っても、前日に殆どの準備を済ませていた為、テーブルクロスを敷いたり飾り付けをするだったので結構早く終わらせる事が出来た。
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