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演劇部の舞台
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人混みから抜け出すと拓海は俺の腕から手を離して俺を見ると「はぐれるなよと言って」ゆっくり歩き出した。
実際、はぐれるなと言われても拓海の派手な金髪を目で追えば、はぐれる事なんて絶対にないのにと思いつつ、拓海に歩幅を合わせて歩きながら拓海を見てふと拓海がご飯食べている所を見ていない事を思い出して俺は口を開いた。
「拓海ってご飯食べたのか? 俺、リンゴ飴しか食べてる所見てないけど」
「飯なら司が来る前にもう食った。なんだ心配してくれんのか?」
「まぁ、休憩の後で拓海が貧血で倒れたなんて聞いたら後味悪い」
「心配してくれてんのな。あんがと」
俺は素直に心配してると男同士で言うのが何だか気恥ずかしくてそう言うと、拓海は俺を見て嬉しそうに笑ってそういうと俺の頭をくしゃくしゃと撫でた。
俺は、恥ずかしさと髪を何度直しても拓海に頭をくしゃくしゃにされるものだから、そろそろやめて欲しくて拓海の足を軽く蹴って先に歩き出した。
拓海が、足を擦りながら口に手を当てて笑ってるのを見て、俺は歩くスピードを上げつつ拓海を見失わないように体育館を目指す。
人にぶつからないように歩いていると直ぐに体育館に着き、俺は扉を静かに開けて中を見ると意外と観客が多くて座れるかどうか見渡していたら丁度電気が消えて演劇が始まりそうだった。
俺が、扉から中をじっと見ているといきなり首根っこを掴まれて後ろを見ると拓海が呆れたような顔をして此方を見ていた。
「体育館入って待ってると思ったら何してんだ。覗き魔見たいになってんぞ」
「俺が先に入るより楽しみにしてる拓海が先に入った方がいいだろ」
「先に入ってりゃいいのに馬鹿だなぁ。そういう所本当に……まぁいいか。行くぞ」
拓海は、首根っこから手を離すと俺の肩をポンと叩いて体育館の扉を開けた。
俺達は、一緒に薄暗くなった体育館に入り足元に気をつけながら空いてる席を探すと、幸運な事に丁度二人分の席が空いていた。
俺は先に座って拓海を見ると暗い中でも映える金髪を揺らしながら俺の横に座った。
俺は辺りを軽く見渡すと、俺の近くに座っている地味めな女子達が拓海を見て会話を止めて驚いていたり、派手そうな女子達が拓海を指差して何かを話していたりしていて、全く注目されていない俺は男として悔しくなった。
そんな事を考えていると、スポットライトが緞帳に当てられブブブーという音が流れて幕が開いた。
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