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演劇部の舞台-3-
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それから、拓海と特に会話をする事もなくお互い舞台を観賞した。演劇部の舞台は王子が王女にキスをして王子が王女をお姫様だっこするという大団円を迎えた。
役者の挨拶などが終わった後、体育館の電気が一斉に点き生徒達は一斉に舞台の感想を話し合いながら歩き出す。
俺が立ち上がる前に拓海が立ち上がり気持ち良さそうに伸びをした後、俺を見て微笑んで口を開いた。
「な? 俺が言った通り面白かっただろ?」
「面白かった」
俺がそう言うと拓海は微笑むと金髪を揺らした。俺はそれを見ながら立ち上がり拓海が歩き出したので俺も一緒に歩き出した。
人の波に流されないように歩きながら横目で拓海を見る。その顔は何度考えて見てもいつもの拓海で俺はまた安堵しながら拓海から視線を外した。
そのまま、俺達は中庭の模擬店をブラブラと歩き回った。俺は、香坂に言われた通り好きな焼きそばを二つ買った。
買ったのに焼きそばに手をつけない俺を見て拓海に食べないのか?と言われたが笑顔で流してたが特に拓海は何も言わなかった。
そのまま、中庭で休憩していると拓海を呼ぶ声が聞こえて俺達は声のする方へ視線を向けた。
「拓海君!! やっと見つけた。あっ、休憩中にごめんなさい。今、キッチン担当の子が怪我しちゃってヘルプに入ってもらえない?」
そう拓海の同じクラスであろう女子が、額に汗を浮かべ焦った表情を浮かべながら拓海を見つめながらそう言い放った。拓海は、俺と女子を交互に見つめた後髪をぐしゃぐしゃと掻き口を開いた。
「そりゃあ、仕方ねぇな。俺も一緒に行くからちょっと待っててくれ」
「分かった。本当にありがとう!」
拓海が女子にそう言うと安堵したような表情を浮かべている。
俺が、その光景を見ていると拓海に肩をポンと叩かれた。俺は拓海を見上げると申し訳なさそうな表情を浮かべながら此方を見ていた。
「てな訳で俺は戻らなきゃならねぇけどお前は文化祭楽しめよ。司」
「分かった。そっちこそ頑張れよ。女じゃなく俺と回ってくれてありがと」
「何言い出すかと思えば、俺は元々お前と回る気だったから気にすんな。余った休憩時間貰えたとしたらまた一緒に回ろうな司」
「まぁ、気が向いたらな。あ、そうだこれ。やる」
俺は、焼きそばの袋を一つ掴むと拓海の前に差し出した。拓海は、呆けた表情を浮かべながら袋を受けとると中身を見て口を開いた。
「これどうしたんだ? 焼きそばお前の好物だろ?」
「色々奢ってくれたお礼とこの後も接客頑張ってくれっていう俺からの激励。だから素直に受け取って早く仕事に戻れよ」
「お前は本当に……ありがとな。これは午前以上に頑張るしかねぇなぁ。気が向いたらまたクラス来いよ。休憩時間貰えたら本当に一緒に回ろうな」
拓海は嬉しそうに顔を綻ばせると俺の頭をぐしゃぐしゃと撫でた後、拓海は女子と一緒に駆け出して行った。俺はその背中を見送りながら伸びをした。
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