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「ゆう、コーヒー…」
「…っ」
でも次の日も、ゆうは居なかった。
そろそろ限界。
自分で淹れるコーヒーは美味くないし、飯もカップ麺かコンビニ弁当で済ませる…
部屋も散らかって…
ケーキも、土産の八つ橋も手を付けてないまま置いてある。
「ゆう…コーヒー…」
居ないのはわかってるのに、呼べば、出てくるんじゃないかという期待を込め、何度も何度もゆうの名前を呼ぶ。
俺、こんなにゆうに依存してたっけ?
数日いないだけじゃん。
あ、もしかして旅行か?
会社の仲間とかで?
そうだよ。俺だって出掛けてたじゃねーの。
ゆうだって旅行くらい行くし。
はっ、そうか。
旅行か!
あいつ、メールくらいよこせばいいのに、ったく。
何度もそんな事を、まるで自分自身に言い聞かせてるのようかに声にしながら、キッチンへ行き、美味くないコーヒーを淹れようと俺用のマグカップを手にしたら…
あれ?
どうして、俺のしか無いんだ?
棚を全部見回しても、そこには俺のしかなかった。
「おい…」
酷い胸騒ぎがして、急いでゆうの部屋まで走り、戸を開けたら…
「うそ…だろ…」
そこにはベッド以外なにもない…
ゆうの跡すらない、部屋だった。
「ゆう?」
クローゼットのなかも空で、引き出し、本棚、何もかも空で…
「ゆう?」
ベッドの上に、何かがあるのに気付き、ベッドの横まで行って…その何かを見た瞬間息を呑んだ。
全身から力が抜けて、バタッと床に座り込んだ。
そこには、俺が初めての給料で買った腕時計と、
俺たちを縛る、指輪が…置いてあった。
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