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「今までごめんな」
数分抱き合ってて、お互い腕とか疲れてきた頃、智也がそう謝ってきた。
今まで俺のことを否定してごめんだとか、思わせぶりな事しといてごめんとか、俺の不安を全部謝ってくれた。
別に謝ってもらいたかったわけじゃないけど、それでも俺がどう思ってたのかわかってくれたから嬉しかった。
ちゃんと俺の事を考えてくれてたのが嬉しかった。
その夜、俺は…実はソウイウの期待してたんだけど、智也が『大事にしたいから』とか甘くさい事を言ったもので、笑って寝る事にした。
でも、寝ると真っ赤な世界の夢を見るのは相変わらずで、それでも隣にいるぬくもりに縋れば自然と悪夢さえ見れない程深い眠りについた。
ーーーーーー
「ただいま…」
京都から帰り、久々のアパートへ戻る…
正直、帰りづらい。
別に喧嘩はしてないけど…なんとなく、あの夜の事を思うと、橘さんと顔を合わせづらい。
隠れてる訳じゃないんだけど…できるだけ音を立てないように戸を開け、静かに中へ入った。
そこには橘さんの靴がなくて、少しほっとした。
先に風呂に入り、着替えて、浮かれてる気分で智也に電話をかける。
恋人になったんだ。嬉しくないわけがない。
3日も一緒にいて、ついさっき離れたばかりなのにもう会いたいなんて、ガキじゃあるまいし…
『もしもし?』
「もう家?」
『うん、ゆうは?何してんの?』
「お風呂上がったばっかり。橘さんまだ帰ってきてなかった」
『そっか…そうだったね、ゆうは橘さんと住んでるんだった…』
若干シュンとした智也の声に笑ってしまう。嫉妬してんのかな?
考えてみれば可笑しな話だよ、元彼と住んでるんだからな…
「ヤキモチ?」
『ヤキモチ。絶対にいい雰囲気になるんじゃねぇぞ?』
なに、いい雰囲気って。
嫉妬丸出しの言葉の裏には冗談っぽい笑い声がして、実はあんまり心配してないんじゃないか?
ちょっとつまらないけど、嬉しい。
俺を信頼してくれてるんだよな…
「俺は浮気はしないよ、お……っ」
ーーーー(お前と違ってな)
あれ?
今、無意識にそう言葉にしそうになった。
そんな事を言うつもりなんてなかったのに、勝手に口が…
『はは、頼むよ』
でも智也には聴こえてなかったようで、安心したものの、何かが胸に引っかかる…
「智也は?浮気すんの?」
冗談で言ってるつもりなのに、心のどこかでその答えを真剣に待っている自分がいた。
智也が浮気なんてするはずないのに…
なのにしっくりこないのはなんでなの…
『するわけねえじゃん。ゆう以外見えない』
「くっせえ言葉ありがとう」
『言わせておいてそれかよ』
「ふふ、でもありがとう。好きだよ」
『俺も、好き』
平和なこの会話が嬉しいはずなのに?自分の中にできてしまった疑いが、俺の感情を惑わす。
(どうせ飽きられて浮気されるんだよ)
アイツの言う事なんか聞きたくないのに、その言葉が胸に突き刺さった。
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