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こんなヤケクソなキス、嬉しくも気持ちよくもなんでもないのに…自分から誘ったんだ、キスに答えるしかない。
久しぶりにした橘さんとのキス。
最後にしたのはあんなに穏やかな気持ちになれる優しい優しいキスだったのにな…
橘さんのキスはいつだって優しかった。
学生の時付き合っていた頃も、優しくて、綺麗なキス。
それをこんな乱暴なものに変えてしまったのは自分だ。
俺に悲しむ資格はない。
何も考えずにただ感じてればいいんだよ。
余計な事は考えないで。
何も思い出さないで。
ーーーー『ゆうき…』
「っ…!?」
聞き覚えのある声に驚き、目を開いたら…
そこには橘さんがいなくて…
あの真っ赤な世界と…
真っ黒な影がいた。
怖くなり、真っ黒な影の胸から逃げるように押しても、俺の腰をガッシリ掴まれていて身動きができない。
ーーーー『ゆうきから誘ったんだから』
やめろ…
ーーーー『逃げるなんて許さないよ』
嫌だ……
こんなのじゃないんだ
俺が望んでいたのはこんなんじゃ、
ーーーー『入江くん…死んじゃったかな』
「ぁ……ぃっ…はぅ…はっ……はぁっ…」
「堀川…?」
ごめんなさい。
「…ぉ……っ…めっ……さぃ…はっ…」
自分勝手でごめんなさい。
だからやめて。
もう、逃げないから…
「とも…やっ……殺……な…でっ…」
謝るから。
言う事聞くから。
「おい!落ち着け…ちゃんと息を吸え」
ーーーー(俺のせいで…)
俺のせいで、智也が死んでしまう。
許して、智也を殺さないで…
ーーーー(俺も、殺せ)
俺も殺して。
「ぃゃっ!!…離せっ!!」
「堀川!!」
「死んでやる!!くっそ!俺を殺せ!!」
ーーーー『顔はダメだよ…綺麗な顔が台無し』
ふざけんじゃねえ。
お前に一生囚われるなんてごめんだ。
殺してくれねえなら、自ら死んでやる!
「おい、辞めろ!」
誰の声かも聞き取れないが、その声が真っ黒い影から聞こえてくるのは確かだ。
お前が俺を苦しめてた奴だったんだな。
俺を殺してくんないなら、
「…はっ……くっ…」
残った力を全部かけて目の前にある黒い影から逃げ、俺は自分の首に…触れた。
ここが夢なのかなんなのか知らない。
現実なのかもしれないし、ただの悪夢なのかもしれない。
でもここから解放されるのならなんだっていい。
ふと力が抜け、頭がぼーっとして…
目を少しだけ開けたら、眩しくて…
「堀川!」
俺の名前を呼ぶ橘さんの声が……
俺が最後に聴いた音だった。
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