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目が離せない
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「賀川、今日は本当にありがとうな。助かった」
電車を降りて学校の校門を目前に南は満面の笑顔でお礼を言ってきた。
「いえ、俺は側に居ただけなんで」
って言うのは嘘だ。
ラッシュの電車の中で、馬鹿みたいに男の手が先輩の身体へ伸びてきた。
俺がはたき落した数は軽く10回以上。
同じ奴がしつこかったのもあるが尋常じゃない。
この人、毎日痴漢に遭うって言ってたけど本当なんだな。
「明日も良かったら一緒の電車乗りますよ」
また、自分でも予想外な言葉が口から出たが驚く暇が無いくらい間髪入れず南が返答してきた。
「本当に!?いいのか?凄く助かる!嬉しい!」
どこか切羽詰まった感と期待に輝く瞳に賀川は保護欲を掻き立てられる。
「いいっすよ。今日と同じ電車でいいですか?」
「うん!それは賀川に合わせる。本当にありがとう」
本当に感謝してるんだなって、みて取れる表情に賀川は笑った。
「あんた、感情だだ漏れ」
「え?」
「いや、それでいいと思いますよ。憎めないし可愛いんで。あんたが人気な噂が少し分かった気がします」
「人気?噂?なんだそれ?」
初耳だと言わんばかりに首を傾げる南の頭をポンポンと叩いて賀川は笑った。
「先輩のユルい雰囲気って事です」
賀川の言ってる意味は全く分からなかったが南は賀川の笑った顔に赤くなった。
「お前が言ってる意味分かんないけど、俺もお前の噂は正解だと思う」
「どんな噂ですか?」
「天然タラし!笑顔がヤバいよ!!俺、男なのになんか照れるもん」
南は賀川を指差しながらこれが真実と胸を張って豪語する。
そんな南に賀川が苦笑しながら誰にも聞こえないぐらい小さな声で呟いた。
「それは、あんただよ。天然タラし・・・」
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