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大野となごみ4
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(なごみ語り)
素の僕を知ったら失望して、僕に興味が無くなるのだろうか。明るくて、屈託のない笑顔を僕に向けることも無くなるのだろうか。興味本位で僕に恋をしているだろう大野君が、本当の話を聞いたら僕を嫌いになるのだろうか。
僕には大野君が眩しい。
直球でぶつけてくる気持ちが痛い。
気持ちに応えられないなら、いっそのこと嫌われたほうが楽だ。
「素の僕が知りたい?」
僕は大野君をじっと見つめた。
ここで話してしまえば楽になるのかな。
「教えてあげようか。僕のこと。」
「えっ、なごみさん……のこと?知りたいです。教えてください。何でも知りたい。些細なことでいいですから。」
僕は長い間を持たせて、話し始めようとした。
諒とのことを伝えてみようと思った。僕が男しか好きになれないのも、めそめそ泣いて女々しい僕の中身も、ここでぶちまけてしまいたかった。
距離を詰めたい大野君に牽制の意味を込めて、衝動的に打ち明けたくなったのだ。
「和水、部長が呼んでる。すぐ来い。」
突然寺田が現れて、僕の前に仁王立ちした。
お約束……だな。
「お前ら、休憩は終わりだ。仕事しろ。」
「……分かった。」
さっきまで浮かれてコンパとか言ってたくせに、現金な奴だ。僕はしぶしぶ立ち上がり寺田に続いた。大野君が何かを言いかけたが、上手く聞き取れなかった。
結局話せずに終わった。
僕の心の内を伝えようとして寺田の邪魔が入った。
これが良かったのか、悪かったのか分からない。
でも内心ホッとしたのは事実だ。
嫌われたくもなくて、好かれたくもないって僕は本当にワガママで、心底反吐が出る。
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