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なごみと過去2
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(なごみ語り)
ものすごく場に疲れていた。
女の子と話すということは思ったより気を使っているようで、仕事とは別の疲労感に襲われていた。
相槌を打ちながら笑顔のまま耳を傾ける。笑顔というか、口角が上がったままの表情筋をキープしていた。
寺田の集めた女の子たちは、僕から見ても可愛かった。だけども、事あるごとに纏わり付いてくる。場数を踏んだ手慣れている女戦士の集団みたいに思えた。
さり気なく腕や太ももに触れ、ふわっと香水の香りを振りまいている。ノンケなら大喜びしそうなことも僕は嫌だった。早く帰りたいと、疲れた心が叫んでいる。付き合いでも来るべきではなかった。
僕はヨロヨロになりながらトイレへ避難した。
水で顔を洗って、もう少しだからと自分を元気付ける。疲れた顔が虚しく見えた。
少しして、誰かが入ってきた。
「やっぱりここにいた。大丈夫ですか?顔色悪いですよ。無理しないでください。苦手じゃないんですか。」
その人物が優しく背中をさすってくれる。大野君だと気付くにはそんなに時間がかからなかった。
「あ……うん。ああいう場に慣れなくて人酔いした。大野君こそ、いい子がいたんじゃないの?こんなとこにいたらチャンスを逃しちゃうよ。」
いい雰囲気になってた女の子がいたはずじゃないかな。対角線上に座っていたボブの子が頭を過ぎった。
「いい子って……なごみさん、それ意地悪で言ってますか?」
「違うよ。仲よさそうに話していたから、僕の介抱しているより女の子といたほうがいいかと思っただけだで。」
絶対に女の子の方が大野君に合う。
「俺がやりたくてやってるんで、気にしないでください。それよりこの後、飲み直しません?俺も飽きちゃいました。あの子達の戦闘モードにうんざりです。」
彼も同じことを思っていたことに、些か胸をなで下ろす。確かに口直しをしたかった。
「……いいよ。気分転換したかったし。」
そう言うと、大野君の顔がぱあっと笑顔になる。
「やったー。約束ですよ。行きましょうね。二次会に行きたがる寺田さんを絶対に断ってくださいよ。」
「あ、ああ……分かった。」
喜ぶ大野君はやっぱり犬みたいだ。
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