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第1章
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いつまでたっても離してくれない。もういい加減こっちは兄離れしたいのに、、、。
「りっうくーん。りっくんの大好きなアイス買ってきたよォ!!」
「う、うっさい!俺はもう甘いものなんて食べないんだ!!」
「まぁたそんなこといってー。無理はよくない。まぁりっくんが要らないなら仕方ないなぁ。このアイスは捨ててくる、、、。」
いつも周りから騒がれているにも関わらず、何にも動じず変わらない表情。
冷静でむしろ冷たいとまで言われている俺の兄は、その硬派で綺麗な顔を歪め、落ち込んだ空気で背を向けた。
「なっなにも捨てることはないだろうが!!食べるよ!もったいないからな!」
そういった瞬間、ニヤリと笑い振り返った兄はいつもの冷静さなんて投げ捨てたように俺に抱き着いてくる。
もうほとんど変わらないが俺よりも少しだけ高い身長と引き締まった身体が暑苦しい。お互いもう子供じゃあないんだから、こういうスキンシップは正直うざい。
「いい加減はなれてくれない?涼介。」
首元に巻き付かれた腕を剥がしながらため息をつく。
「りっくん、お兄ちゃんって呼んでって言ってるよね?」
「何で高校生にもなってお兄ちゃんなんて呼ばなきゃなんねーんだよ。せいぜい兄貴だろーが。」
「はぁ?小さいときはあんなに可愛く、りょーにいちゃんって呼んでくれたのに。」
「小さい時の話だろ!?今さらそんな風に呼べっかよ!てかニヤニヤすんな。ぜってーおちょくってんだろ!」
顔に血が上るのが分かる。確かに俺はお兄ちゃんっ子だった。涼介は意地悪だったが、いつも俺に無条件に優しかったからだ。
周りから憧れの目を向けられ崇拝されてすらいる兄が、俺にだけは表情を崩してくれる。
そんな唯一の存在であることが嬉しくて何時も涼介の後をついて回った。
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