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はち。
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面白がった伊月が嫌々と首を振っている兎代を羽交い締めにする。
龍彦はそんな彼らにジリジリと近づいていった。
「やぁぁぁめぇぇぇろぉぉぉ!!!」
それは、なんだかとてもシュールな光景だった。
コンコン。
すると突然、奥の方で扉が鳴る。
その音で一斉に3人は動きを止め、音がなった方向の入り口へと目を向けた。
「旦那様。掛川(かけがわ)様がお見えになりました。
お通ししてもよろしいでしょうか?」
(掛川……?)
扉の方から聞こえた滝沢の声に、兎代は首を傾げる。
「あ……、そうだった。すっかり忘れてた。」
龍彦はしまったという顔をして、兎代に近づくのをやめた。
伊月もその様子を察知して、兎代を羽交い締めにしていた腕を解く。
「なに?一体何がどうしたんだよ?」
なにか気まずそうに、
龍彦は兎代に事情を説明した。
「……実はお前に、十二支の事を学んで欲しくて"ある人"を呼んだんだ。
その人はお前と同じ境遇だし、いざとなれば協力関係を結べると思ってね。」
「同じ境遇の、人間……?」
十二支……同じ境遇……。
そう言われれば、
考えられることは1つしかあり得ない。
(まさか……!!)
「いいよ、入ってきて。」
ーーー龍彦の言葉を合図に、扉がゆっくりと開く。
龍彦は開ききる前に、兎代の方へ顔を向けた。
そして頼りない笑みを浮かべ、この一言。
"ごめん"
「は??」
意味の分からない謝罪に、兎代は顔を顰める。
なんで今、俺に謝るの?
ギィィィィ……
開ききった扉から、
コツンと革靴の鳴った音が響く。
「失礼いたします。」
そして暗闇の空間から聞こえたのは、しっかりとした可愛らしい声。
窓から射す光に当てられ、現れたのは柔らかい癖っ毛ショートヘアをした女の子。
その子の後ろには、美しい黒髪を束ねた凛々しい女性の姿があった。
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