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にじゅうはち。
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*
※戦闘シーン、暴力シーン有り。
主格である男は、人質をとっている男達に叫んだ。
「お前ら!!早く干支を持ってソイツから逃げろ!!捕まるんじゃねぇっ!!」
「!!」
その言葉に男達は従って、
楓から逃げようとする。
「させるか。」
楓はスッと真顔になって、男達の元へ走り出す。
そして彼は飛びつく様に男達の方へ接触すると、まるで人形を壊す様に男達を倒していった。
彼の黒い手が触れれば、男達の身体は音を立てて壊れていく。
その様子を、男は呆然と見ていることしか出来なかった。
犬は彼に畏怖して、手を出さない。
「グハッ!?」
最後に、楓は寧々を担ぎ上げていた男の鳩尾に拳を入れる。
男は涎を出しながら床に膝をついて、気を失った。
その前に楓は寧々を男の腕から解放し、無事保護する。
拘束された縄を切って、彼女の身を自由にさせた。
「あ、ありがとうございます……。」
楓に助けてもらい、お礼を言う寧々。
その様子を見ると、彼女は楓の雰囲気に畏まっているようだ。
楓は小さく笑って、お礼の言葉に首を横に振る。
「いえ、俺は何も。お礼を言うなら俺じゃなくて、彼女に言うべきです。」
楓は彼女の身体を支えながら春真に目を向けた。
「……春真?」
「ええ。何があったかは詳しく聞きませんが、あの後春真は自分の過ちに気付いたようです。
自ら囮になると言い出したのは、彼女なんですよ。
それで寧々様を助けられるなら、自分は何でもすると。」
「!!」
「実際貴女を助けたのは俺ですが、本当に貴女を助けたのは春真です。」
その言葉に大きな動揺を見せる寧々。
そして楓は寧々の傷を見て、眉を潜める。
「……とりあえず、貴女は傷の手当てをしないといけませんね。」
楓は上を向いて兎代と目を合わせた。
兎代は頷いて、ヘリの方から縄梯子を出す。
「さぁ、行きましょう。」
「え、でも相手がまだ…!?それに春真だって連れ戻さないと…!!」
「大丈夫ですよ。今の彼女なら。
……それに、これは罰でもあるので。」
「??」
その言葉に首を傾げる寧々。
楓は押し流すように、混乱する寧々をヘリの中へと入れた。
縄梯子に手をかけ、楓は振り向いて意地悪気に笑いながら春真を見る。
「……さて、本当のお前の力見せてもらおうじゃないか。」
ーーーー"霜月(しもつき)"
静かに両目を閉じていた春真。
楓の掛け声で彼女はゆっくりと目を開け、目付きを一変させた。
「ッハ、武器も何もない女が何が出来るっていうんだよ!!」
主格の男は意地になって、春真に襲い掛かる。
それに続いて男達も同時に走ってきた。
春真は戦う構えをとって、次々と繰り出してくる男達の拳をいなす。
隙さえできれば彼女は拳を繰り出して殴る。
鉄パイプを振りかざした者には、腕を掴み力の法則を利用して床に飛ばした。
あまり上手くいかない戦いに、男は舌打ちをこぼす。
(……さすが月華……。得意分野じゃなくても戦いはある程度強いのかよ。)
だが避けられない攻撃もあり、素直に身体に打撃を受けたりする春真。
「っ、」
(……やはり武器がないと、本気が出せない……。)
先ほどのナイフや刀は、全部遠くへ追いやられてしまった。
あそこまでいくのに、時間はかなり掛かる。
(なにか……何かないのか………。)
周辺を見ながら、彼女は武器を探した。
すると"あるモノ"が春真の目に止まる。
(ーーーこれだ!!)
彼女は男達を蹴飛ばして、懐に手を伸ばす。
「っ!!」
一瞬彼らがそれに警戒して隙ができた。
それを利用して、春真は一目散に窓の方へと駆け出す。
ーーーーガシャンッッ
そして思い切り窓に頭をぶつけた。
音を立てて崩れ落ちたそれは、まるで刃物のようにバラバラになって床へと飛び散る。
「ハハッ!とうとう気でも狂ったか!?」
男が春真を見て嘲笑った。
「春真!!」
その行動に驚いた寧々が、空から叫ぶ。
泣きそうな顔で春真の様子をジッと見つめた。
「……このくらいで、私は怯ません。」
ポタ…ポタ…と、彼女の額から血が流れ落ちる。
下から睨むように、春真は男を見つめた。
その表情があまりにも怖くて、男は一瞬息を飲む。
「刃物がないなら作ればいい……。"コレ"さえあれば、私は勝てる!!」
春真はガラスの破片をグッと素手で強く掴んだ。
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