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にじゅきゅう。
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※戦闘、暴力、痛々しい表現あります。
「そんなモンで、俺達に勝てるわけねぇだろ!!」
窓の破片を握った春真に向かって、
男達は襲い掛かる。
「……………。」
襲い掛かる集団に、春真は体勢を整えた。
先ほどとは全く違う、構え方。
バッドを持った男が襲い掛かれば、彼女は振りかざした攻撃を華麗に躱していった。
それは今までと違って軽い。
先ほどまでは殴る隙があったのに、それが一切なくなった。
「っ、この野郎!!」
男はそれに動揺し、
どんどん攻撃に隙が生まれてくる。
春真は一切、それを見逃さなかった。
大きくできた隙に、彼女は握りしめたガラスのナイフを振りかざす。
「ぐっ……!?」
それが命中して、男の腹部に刃物が突き刺さった。
春真は突き刺したまま、彼に蹴りを入れる。
(あと9人…!!)
その後、春真はまだ床に散らばったガラスを手に取った。
今度は男2人、同時に刃物を突き刺す。
「残り…7……!!」
春真が目にも留まらぬ速さで、どんどん男達を倒していった。
主格の男は汗を拭いながら、
この状況に愕然としている。
「……はぁ、……はぁ……。嘘だろ。」
ーーー気づけばたった3人しか、生き残っていなかった。
主格の男以外、2人は怯えて立ち尽くしている。
そしてついに狂ったのか、3人のうち1人が春真の武器に手を伸ばした。
それを見て、もう1人の男も春真の武器を手に取る。
その行動に、主格の男が焦ったように声を上げた。
「馬鹿野郎!!ソイツに刃物は使うな!!」
もう耳に声が届かないのか、男2人は武器を持って勢いよく駆け出していく。
男達は叫びながら、春真にナイフを突き付けた。
「……甘いですね。」
春真はガラスの破片を投げて、ガッッと男2人の腕を捕らえた。
「ひっ…!?」
春真の睨みに、男達は震え上がる。
ギリギリと凄まじい握力。
春真の手からは血が滲み、腕を絞められた男達は痛みに負けて自ら武器を離した。
「握り方も振りかざし方も、全然違います。
こんなのだったら、まだ持っていない方がマシでしたよ。」
カランカランッとナイフ2本が床に落ちる。
春真は男達を離し、
落ちたナイフを拾い上げた。
慣れたようにクルッと回して、刃先を後ろに持っていく。
「なんなら、教えて差し上げましょうか?」
ピッと春真が軽く1回、ナイフを振りかざした。
「え………。」
それはとても一瞬で、男達は理解ができていない。
ーーそのうち男達の腕に太い赤い線が入った。
男達は大量に溢れる血の量に、悲鳴をあげる。
春真は真顔でその横を通りすぎ、主格である男を見つめた。
「……後は、貴方だけですね。」
「………そう、みてぇだな。」
男はゆっくりと降参のポーズをとろうとする。
ーーーだがその途中で、男は懐に入っていた拳銃を取り出した。
カチャッ
春真を撃とうとしたその時、
彼女は素早く男の脇をナイフで切りつける。
ザシュッ
あまりの激痛に男は叫び声を上げて、
銃を持ったまま蹲った。
腕に全く力が入らず、痛みで思考が働かない。
春真は蔑むかのように、男を見下ろした。
「……私の勝ちです。」
春真はそう言うと、
思い出したようにふと上を見上げた。
ヘリの音がスッと耳に纏わりつく。
そこには黒くて大きいヘリが、真っ白なライトで春真を照らしていた。
わずかに見える入り口からは、寧々が心配そうに此方を見つめている。
その顔に、春真は優しい笑みを浮かべた。
ーーーーーーー
ーーー
「その後彼らを拘束し調べようとしましたが、一瞬の隙をついた際に逃げられました。」
翌日、病室にて。
清潔感のある白い部屋で、書類を持った星野がその後の現状を説明している。
頭を包帯で巻かれ、起きた状態でベッドに座る春真。
黒髪を下ろし、紺色のパジャマを着た状態は明らかに病人だ。
その側には、客用の椅子に座っている寧々。
彼女はちゃんと制服を着ていて、少し見える腕からはぐるぐる巻きの包帯が見えている。
その後ろでは、寧々を守るように立っている兎代と伊月の姿。
彼らも寧々と同じく、しっかりと学校の制服を着込んでいる。
4人は春真の個室で、真剣に星野の話を聞いていた。
「もしかすると彼らは十二支を狙う専門職、狩人(かりうど)の一員かもしれませんね。」
この前の怪我がすっかり治った星野がそう言うと、兎代は首を傾げる。
「狩人(かりうど)??何だそれ。」
「依頼者に頼まれ、十二支の命を狙う輩のことです。まぁ、簡単に言うと殺し屋…ですかね。」
「うわ、何だそれ怖ぇな……。」
「彼らは個人で行動することはなく、チームを作って行動します。
普通1人の人間が月華に勝とうなんて、絶対にあり得ないので…。」
寧々はその言葉に反応して、うんうんと縦に頷いた。
「そりゃそうだよ。月華は戦闘技術のスペシャリストだよ?普通の殺し屋が勝とうなんて100万年早いね!」
「??」
星野と寧々の会話を聞いて、兎代はまたもや首を傾げる。
「……なぁなぁ。」
兎代の声掛けに、2人が視線を向けた。
彼らの視線の先には、
少し気まずそうにした兎代の姿が。
彼は人差し指でポリポリと頬を掻いた。
「ちょいちょい疑問に思ってたんだけどよ。
………月華ってなんだ??」
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