アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
おわり。
-
*
ーーーside???
赤い髪の少年と金髪の青年が帰った後、男は1人書斎室に残った。
笑顔で降っていた手を降ろし、一息を吐く。
無言で高質な机に向かい、専用の鍵を使って引き出しを開けた。
重厚に掛けられた鍵が外れ、出てきたのは青銅で作られた文字盤の欠片。
そこには兎模様が彫られており、下の部分には"卯"という文字が刻まれている。
そして引き出しの中にはもう1つ、古い紙が入っていた。
"安土 卯代"
黒い墨で達筆に書かれたその名前を見て、男は目を細めた。
頭の中では、先ほど男が息子に放った言葉が再生される。
『ばいばい、兎代。また近いうちに呼ぶと思うから、
その時はよろしくね。』
大きな窓から入る鈍い光で、灰色のように照らされる部屋。
「……あの子も今年で17だ。そろそろ話した方がいいかもしれない。」
本当はあの子が成人したら話すつもりだった。
だけど、今回の事件が起きて僕の考えは変わった。
"コレ"について、早く話すべきだと。
楓くんは知っているが、あの子は何も知らない。
彼がいるから対して大事にはなっていないが、楓くんがいなかったら兎代は既に死んでいる。
何も知らないままじゃ、今後あの子が不利になるだろう。
(もう僕だけじゃ、あの子を守れない。)
男、安土龍彦は書斎に置いてあった電話を手に取った。
慣れた手つきで番号を打ち、何処かへと電話をかける。
(……それにはまず、同じ境遇の人を呼ばないとね。)
「あっ、もしもし?僕だけど。久しぶりだね掛川(かけがわ)。
突然ですまない。お願いがあるんだけど、君のお嬢さんと話をさせてくれないかい?」
同胞である彼に快く受け入れてもらった後、受話器の向こうで声が替わった。
「もしもし、"寧々ちゃん"?
こんにちは。急で悪いんだけど、少しおじさんの頼みを聞いてくれないかな。」
僕は彼女に大まかな内容を話す。
来てくれるだけでいいと言うと、彼女はとある条件を出してきた。
「えっ……!」
驚きの条件に、僕の判断は一瞬鈍る。
「う…うーーーん。」
だがその後の言葉で、僕はその条件を呑んだ。
日程を決め彼女との電話を切る。
「………………。」
再度、静まり返る部屋。
「……あはは。
めんどくさい事になっちゃった。」
「ごめん、兎代。」と、僕は誰もいない空間で息子に謝罪の言葉を述べた。
ーーー第2部 星野涼介という人は、 END.
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
60 / 148