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君に出会う
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「でも…僕じゃ…」
「なにを弱気な事言ってるんだ。今回は原作者自らの指名なんだぞ?」
マネージャーの口から出た言葉に卓斗は眼を見開いた。
(原作者の指名って…あの浅野先生が僕を?)
原作者からの指名なんて、卓斗にはまるで夢のよう。
いや、夢の中にいる気分だった。
(僕はまだまだ新人なのに、そんな凄い人からの指名なんて…!)
卓斗の心の中で信じられないという気持ちと、嬉しいという気持ちがぶつかり合う。
「兎に角、頼んだぞ!」
葛藤する卓斗を尻目に、マネージャーは半ば強引に台本を押し付けてくる。
胸の前で握り締めた台本に眼をやりながら、ゆっくりと息を吐いた。
(本当に僕でいいのかな?)
そりゃ、どんな仕事でも一度頼まれたら断るわけにはいかない。
それに今回は原作者自らの指名という、滅多にない事だ。
卓斗の心に不安が募る。
(不安だけど…やっぱりやるしかない!)
でも、不安がってはどんな仕事も勤まらない。
卓斗は自分に鞭を打ち、覚悟を決めた。
「堤さん!」
「ん?」
少々大きな声を張り上げ、部屋を出て行こうとするマネージャーを呼び止めた。
そして、ゆっくりと決意を語り出す。
「僕…僕なんかでいいのかって凄く不安だけど…頑張ってみます! ぜひやらせてください!」
「卓斗…。そうか! よく言った! じゃ、しっかり頼んだぞ!」
卓斗の言葉を聞き、マネージャーの顔に満面の笑みが浮かぶ。
彼ならやってくれる、と信じていたから、その言葉は本当に嬉しかった。
「はい!」
それに釣られて卓斗も自然と笑顔になる。
同時に、頑張らなければ、という気持ちを胸の中で高めていった。
「じゃ、俺はまだ仕事があるが、今日はもう遅いから気をつけて帰れよ」
「はい! じゃ、失礼します」
卓斗はマネージャーに一礼してから部屋を後にした。
そして、貰った台本を見つめながら廊下を歩いていく。
(えっと…アフレコは来週か…。折角任されたんだから頑張らないと!)
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