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君と過去
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今から十三年前、丁度今と同じ七月ぐらいのことだ。
卓斗はまだ五歳で、当時は大阪に住んでいた。
その頃の卓斗は人見知りで、友達なんてほとんど居なかった。
でも、そんな卓斗を理解してくれる人が一人だけ居た。
それは卓斗の家の隣に住んでいた十歳上の男の子だった。
「タク!」
笑顔で名前を呼び、いつも卓斗の面倒を見てくれていた。
庭で一人遊んでいる卓斗を見つけては相手をしてくれる。
まさに卓斗の兄の様な存在だった。
「ゆーにい!」
そんな彼を卓斗はそう呼んでいた。
彼は卓斗に自分の事を『ゆう』としか名乗らなかったからだ。
だから卓斗はゆうの名前と年齢しか知らない。
どこの学校に行っているのか、誕生日はいつなのか、名字は何ていうのか、何も知らないのだ。
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