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変化ない日常Ⅰ
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教室に入るなり凪は俺に抱きついた。
正確には泣きついた。
毎年の如く、課題のやり残し。
もう恒例行事だ。
俺の周りに自然と群がる友達。
凪はその中で阿保だの、馬鹿だの言われながら、俺のノートを写していた。
俺も相当馬鹿だけど、凪の馬鹿さには呆れる。
「終わったぁぁぁあぁぁ!」
「お疲れさん、なんか奢れな!」
えぇー!と床へとしゃがみ込んで、泣き真似をする凪。
周りが便乗するように、俺よりも酷い奢り文句を言い出した。
ポテト10個奢れ、ジュース1週間奢れ。
子供染みた奢り文句を聞いて、笑う。
普通に楽しい。
だって、この気持ちに嘘はないから。
気付けば夏休みの話に花が咲いていた。
「柊季って、意外にイケメンかも‼」
「意外ってなんだよ!柊季はずっとイケメンだぞ!」
机の上に広げられている、誰かが撮っていた写真を見ながら女友達と凪が言い合う。
携帯の中にある写真を見てる奴もいた。
海の水、誤って飲んで塩っぱかったっけ。
誰が一番長く保てるかって、地味な線香花火対決。
写真を見ると昨日の事のように思い出される。
「そういや、凪のスイカ割りの写真は?」
「それならここに!動画だけど!」
「やめてぇぇ!」
指示が目的のスイカとは真逆に出され、それに従い歩いて行く凪が、あまりに可笑しくてみんなで笑う。
張本人は耳まで赤くして顔を手で覆っていた。
思い出して、また花が咲く。
そんな事もあった、こんな事が起きて…。
話の種は尽きそうになかった。
______________
だから
巡がまさかこっち見てるなんて思わなかった。
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