アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
青黒い蟠りⅠ
-
体育祭から何一つとして貢献しない
俺のメールすら無視をした
自分は関係ないと壁を作る
そんな巡や
何もしないのに怒らない
何もさせようともしない
そんなクラスの奴等に
見ててイライラした。
同じクラスにいるのに何もしない。
同じクラスメイトなのに存在すら見えてないかのように素通りする。
「凪…」
「んー?」
前の方の椅子や机を後ろに下げて床の好きな場所に座っている為に隣にいる渚に愚痴のようにこの事を呟いた。
耳だけを傾けて話を聞いていた凪は、俺の前に手を出した。
ピンと五本の指を伸ばしストップと言わんばかりの手。
俺は口を噤む。
すると、徐に立ち上がって「なぁ!」と叫んだ。
その一言で煩かった教室が一瞬にして静まり返り、一気に視線が大声を発した渚に向く。
少し間を置いてなんだよ、早く言えよと促す言葉を投げる。
「赤峰になんかさせろよ」
その一言で委員長の視線が巡に移動する。
それを辿るように皆も巡に目を移す。
それに気付いたのか、巡は窓から教室へ顔を向けるとヘッドホンを外した。
驚いたような、怯えているような…
目を大きく見開いて皆を見ていた。
何かやれよ、と誰かが口を開くと、次々と口が開いて そうだそうだ と便乗し、面倒事全てを押し付けようとした。
こんなのわかりきってた。
ううん、わかってなんかなかった。
だって巡は、逃げ出したから。
教室から走って逃げた。
青褪めた顔をして…。
ただの愚痴が大事になってしまった。
言わなかったら巡を傷付けずに済んだかもしれないのに…
罪悪感に駆られるだけとなってしまった俺は、巡を追い掛けるように走って教室を出た。
「柊季⁉」
と叫んだ凪の声を背にして--。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
27 / 196