アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
青黒い蟠りⅡ
-
「めっ…赤峰!!」
巡呼びは今は違う気がして、赤峰と叫ぶ。
聞こえてるはずなのに、走る足は止まらず先へと行ってしまう。
巡、足、速ぇ…
走る事に関しては平均より速いとは思っていたけど、まさか巡はそれを上回っているとは…、見た目からは想像できない。
必死に走って追い掛ける。
何回も何回も“赤峰!”と叫びながら。
「捕まえた…赤峰」
「っ!離せっ!」
曲がり角を曲がって、追うように曲がると巡は立ち止まりにオロオロとしていた。
息を切らし、荒々しく呼吸する俺たちの吐息が重なる。
離せと懇願しながら掴まれた手を振り払おうとするが、力が入っていない。
かと言って、俺も走った後だ、手に力は然程入っていなかった。
悔しがる巡。
可哀想だと思うと同時に離したくなかった。
逃げられたくない
さっきの事の発端を言わなきゃいけない
それに……
言いたい事はまだあるけど、その前に繋ぎとめる言葉を--。
「ごめん、ごめんな…さぃ…」
まだ整わない呼吸と焦りで語尾を掠めながら、咄嗟に出た言葉は謝罪の言葉だった。
悔しがりながらも諦めずに振り解こうとしていた手を止めた。
言葉と一緒に下げていた頭をあげる。
目が合った。
大きな目が更に見開いていた。
「なっ、何で、お前が謝んの…?」
「んっ、…俺が蒔いた種だから」
巡の表情が驚きから睨みに変わる。
嫌われたかもしれない
それでもいい。
許してもらえなくても謝ろう。
「お前、、何したの」
冷たく降ってきた声は俺の体を硬直させた。
睨み続ける巡の顔から逸らせられない。
何か言わないと、と思うのに言い訳しか考えられない。
正直に口にしたい事も、怯えなのか、恐怖なのか、口をパクパクさせるだけで声は出なかった。
惨めな姿を晒す俺への睨みは止まらない--。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
28 / 196