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青黒い蟠り - 巡side -
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煩さ過ぎる教室の音は消すように外の音だけを聞いていた。
急にさっきまで煩く騒がしかった教室が一気に静まり返りぼそぼそと誰かが何かを呟いてて。
何事かと振り向けば全員が俺の方を見ていた。
ヘッドホンを外した事を後悔する。
気持ち悪く歪む沢山の顔に、無数の目。
その歪みに乗せるように波打って伝わる声は、全て俺に対する侮辱に聞こえて吐き気を覚えた。
居ても立っても居られずに、机に引っ掛かっている鞄を掴むと走って逃げた。
現実の世界は、俺を闇へ引き込もうとする。
ある日いきなり訪れたそれに、耐えられなくなってしまった俺は、家族以外の顔を見る事をやめた。
苗字を叫ばれて、止まれる訳がなかった。
独りになりたかった。
この吐き気を治めたかった。
でも、追い付かれて、腕を掴まれて、逃げ道をなくした。
気持ち悪くて、逃げたくて…。
振り払いたいのに、服部の力は強くて…。
「ごめん、ごめんな…さぃ…」
頭を下げ、見上げる服部と思わず目が合う。
驚きが隠せない。
「なっ、何で、お前が謝んの…?」
気付けば漏れてた言葉だった。
あれは見て来た皆が悪くて、それを見てしまった俺が悪くて、服部は何も悪くないはず。
謝る理由がわからない。
唾を飲んだのかごくっと喉を鳴らしてから
「んっ、…俺が蒔いた種だから」
と服部は言った。
なん…て?
俺がまいた…?
何を?
「お前、、何したの」
何でそんな事わざわざ言うんだよ
何で自分が嫌われるような言い方するんだよ
服部は言い訳したそうに、でも声が出ないのか口をパクパクさせるだけだった。
何とか言ってくれよ…?
言い訳なんかよりも正直な事を
その本当は出せる声が枯れる程に言って欲しい。
でも、声を出す事すらしない。
そんな服部の行為は、俺を苦しめていくだけなんて思いもしないんだろう…。
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